「株式投資って、お金かかるでしょ?」
「カブで儲けようなんて若者のやることじゃない!」
株式投資への、そんな後ろ向きな声が聞こえてきそうですが、じつは大学生のあいだで今、カブは注目されています。なぜ? それはシューカツにプラスになるから。業界や企業を分析する力を養えるというのです。
そんなシューカツ目線の大学生が、株式投資のために銘柄(企業)を選んでみたらどうなるのか...... 早稲田大、明治大、慶応義塾大、一橋大、國學院大の5大学が1年間、運用成果を競います。
【株式取引ルール】
- 月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
- 投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
- 1年間のトータルで損益を競います。
人気の総合商社からPER重視で「住友商事」を選ぶ(早稲田大)
「シューカツに使える企業分析バトル」ということで、就活ランキングで毎年必ずと言っていいほど上位に食い込む総合商社のPER(株価収益率)に着眼してみた。
PERとは、時価総額を純利益で除したもの、もしくは株価を一株当たりの利益で除したもので、一般的にPERの数値が業界平均より低い場合に株が割安だと判断される。株式投資でも、「いいものを安く」買いたい。株価が割安かどうかをチェックしてみる。
商社のPERは、将来の業績が大幅に変動する可能性が高いため、他の業種と比べて低く出ているのが常である。その中でも、約7倍と低い値を出している「住友商事」に焦点を当てた。
住友商事は、三菱商事や三井物産、丸紅、伊藤忠商事と並ぶ5大商社だが、その中でも堅実な経営方針で知られ、金属事業、輸送機・建機事業、インフラ事業、メディア・ICT事業、生活・不動産事業、資源・化学品事業の6つの幅広い産業分野で事業を展開している。
総合商社のリスクを考えるうえで、重要となるのが資源分野の動向。2015年3月期決算では、住友商事の手掛ける米国でのシェールオイル・ガス関連権益の投資損失をはじめ、石炭や鉄鉱石などの価格下落で、最終利益で731億円の赤字を計上している。
しかし、非資源分野への事業投資を積極的に行ったことで、翌2016年3月期決算では資源分野の赤字をも補い、745億円の最終利益を出している。
その後も資源価格の上昇の支えもあり、17年決算では1709億円、18年決算では3085億円の利益を上げ、順調に経営を進めていて、株価の上昇も見込まれる。
目覚ましい発展のメディア・ICT事業
非資源分野で、目覚ましい発展をみせているのがメディア・ICT事業。日本最大のケーブルテレビ事業であるジュピターテレコム(J:com)、テレビ通販事業のジュピターショップチャンネルに加え、成長が見込まれるデジタルメディア関連事業に取り組み、収益基盤の強化を進めている。
J:comは、ジャパンケーブルネットを統合した結果、ケーブルテレビ総加入者世帯数は480万人となり、市場シェアの50%を超えている。さらに不動産事業への投資も著しい。2017年に銀座の中心にオープンしたGinza Six(ギンザシックス)は、さらなる収益の拡大を予想することができる。
ただし、この企業分析の最中、米国と中国の貿易摩擦の激化、米中間選挙前に「トランプ潰し」との受けとめもあるニューヨーク株式市場のダウ平均株価の大幅な下落の影響で、東京株式市場でも株安が進行しているため、このタイミングで大量の買いを入れるのは少し躊躇される。
そこで年初来安値に近い、1674円で200株(33万4800円)を買った。