「企業には罰金を科すのにくせに自らの罰金はどうする?」
改正障害者雇用促進法では、2021年4月までに、法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられ、対象企業も従業員45.5人以上から43.5人以上に拡大する。障害者の受け入れがさらに増えるわけだが、企業側はどう対応するのだろうか。「今後の障害者雇用の方針」を聞くと、「積極的に雇用したい」(5%)も含めて「法定基準を満たすよう雇用する」という企業は35%に留まった=図表2参照。これは、2016年より12ポイント下がり、2015年以降の調査では最低だ。
経営者はどう考えているのか、生々しい意見を聞くと(自由回答)――。
「人手不足の企業が増えてきているため、働きたくても働き口がない障害者を積極的に受け入れて活用できればと思います。その上で成功事例や環境を作っていく上で、参考になる情報が増えていってほしい」(印刷業・50~99人)
といった、現状のまま積極的に雇用しようと意見は少数派だ。
次のように、すべての業界で一律に雇用率を決めることに反対意見が多かった。
「男女雇用機会均等法の施行時と同じように、障害者雇用促進法の定着を図れるかは甚だ疑問。法定雇用率まで設定するのはいかがなものかと感じる。業種業態によって雇用が適さない会社もある。一律に決めるのは行政の押し付けだ」(メーカー・50~99人)
「業種によって、障害者雇用の難易度がかなり違う。労災保険料率のように、業種によって雇用率に傾斜をつけてほしい」(商社・50~99人)
「法定雇用率を満たすがために、極端な障害者の囲い込みをする企業もあり、本当に障害者のためになっているのか疑問だ」(マスコミ・300~999人)
「障害者側にニーズを得られにくい業種は、雇用したくても集まってもらえない。雇用率を上げるのなら、国側も求人に対する宣伝協力を積極的に行うべきだ」(IT関連・100~299人)
また、中央省庁の水増し問題には怒りの声が殺到した。
「中央省庁の水増しには大変落胆した。雇用率が未達成の民間企業には罰金を科すのに、自らへの罰金はどうするのか。まずは障害者の立場に立ち、自らが雇用率を達成していただきたい」(IT関連・300~999人)
「わが社は5年間で2回、高障求機構(高齢・障害・求職者雇用支援機構)から業務監査を受けた。もちろん法定義務を果たしているが、自治体・官公庁には業務監査がなかったことを初めて知り、驚いている」(メーカー・300~999人)
なお調査は、2018年8月29日~9月25日までインターネットを通じて実施。408社から回答があった。(福田和郎)