孤独死の死因の半数は「病死」
「独居老人」には「孤独」というイメージが強いが、これからは生涯にわたり家庭を持たなかった独居老人が増えることで、なお一層、「孤独」のイメージが強まるかも知れない。
事実、「孤独死」は2016年に日本少額短期保険協会がまとめた「孤独死の現状」というレポートによると、60歳代がもっとも多い。ただし、孤独死は、東京都監察医務院では「異常死のうち、自宅で死亡した一人暮らしの人」と定義。厚生労働省では「社会から孤立した結果、死後長時間放置された事例」と定義するなど、一定ではない。このレポートでは、「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った一人暮らしの人」と定義付けている。
このレポートの定義では、60歳代の男女がもっとも高い比率となるが、じつは30歳代や40歳代の女性の比率も高い。これは、孤独死の死因として自殺が含まれることにある。
孤独死の死因の半数以上は「病死」によるものだが、30歳代では半数以上、40歳代でも25%以上が「自殺」が死因となっている。これに対して、60歳代の割合は10%以下でしかない。
むしろ、独居老人に「孤独死」のイメージが強いのは、その発見までにかかる時間によるところが大きい。孤独死の発見者は、親族が約30%、住居の管理会社が約25%、福祉関係者と他人(隣近所の住人など)が約16%、友人が約13%となっている。
つまり、親しい親族や友人といった「気にかけてくれる人」の存在がある場合には、比較的に早く孤独死が発見されるが、「家賃の滞納」や「異臭」などが孤独死の発見のきっかけとなる場合には、発見までの期間が長くなる。
今後は、家族を持たない生涯独身だった独居老人が増加することを考えれば、発見までに時間のかかる「孤独死」は、ますます増加すると思われる。親族だけではなく、地域社会とのコミュニティを強化することで、独居老人の孤独死を防ぐことが求められているのではないか。(鷲尾香一)