「ワシントンポスト紙を選んでくれてありがとう」
サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が、トルコのサウジアラビア総領事館に入った後に行方不明となり、その後殺害されたというニュースが世界中を震撼させました。
かねてからサウジアラビア政府に批判的な記事を書いていたとされるカショギ氏。絶筆となった未掲載のコラムが、米紙Washington Postのオンライン版で公開されました。
コラムのタイトルは「What the Arab world needs most is free expression」(アラブ世界に最も必要なのは表現の自由だ)。カショギ氏の失踪直前に書かれたもので、中東における報道の自由を主張する内容でした。
ワシントンポスト紙の編集者、カレン・アティア氏は、失踪の翌日に翻訳者から原稿を受け取ったものの、再びカショギ氏と連絡が取れる可能性を信じて掲載を見合わせていたそうです。コラムの前文で編集者が吐露した想いに、思わず心を打たれました。
This column perfectly captures his commitment and passion for freedom in the Arab world.
(このコラムは、アラブ世界の自由にかける彼の貢献と熱意をカンペキにあらわしている)
A freedom he apparently gave his life for.
(彼が、生命を捧げた自由を)
I will be forever grateful he chose The Post as his final journalistic home one year ago and gave us the chance to work together.
(彼が、最後の報道の場としてポストを選んでくれたことと、共に働く機会を与えてくれたことに、永遠に感謝する)
(井津川倫子)