政府は、消費増税を予定通り2019年10月1日に実施すると表明したが、消費増税で「景気は悪くなる」と心配する企業が約6割、消費税増税を「延期・中止すべき」だとする企業も半数を占めることが、東京商工リサーチが2018年10月24日に発表した「消費増税に関する企業の緊急アンケート調査」が明らかになった。
消費増税実施までに1年を切ったのに、「準備をしていない」企業も6割に達し、企業側の対応の遅れが浮き彫りになった形だ。
「準備をしていない」企業も6割のありさま
調査は、2018年9月14日~30日にインターネットを通じてアンケートを行ない、8298社から回答があった。
それによると、「消費増税を予定通り実施すべきだ」という企業は47.0%で、「延期・中止すべき」が49.5%と半数を占めて上回った。企業別に比べると、「予定通り実施すべきだ」という企業は大企業が52.5%、中小企業が45.9%と、企業規模が大きくなるほど、消費増税に賛成する傾向が強い。
増税で景気が「悪くなる」と心配する企業は6割近い57.8%に達した。これも大企業は「悪くなる」とするところが52.4%、中小企業が58.9%と、企業規模が小さくなるほど景気後退の不安感が高くなる。
今回の消費増税では、同じ食料品でも8%と10%の差がある軽減税率が導入されるため、企業側の会計・経理システムの変更や従業員への周知・教育などが求められる。そこで、消費増税対策の準備を行なっているかどうか聞くと、中小企業の6割の59.8%が「準備をしていない」と回答、大企業では「準備をしていない」ところは4割の42.9%にとどまり、開きが目立つ。
これは、軽減税率の会計処理が非常に複雑になることが予想されて、中小企業にシステム導入の資金や教育体制が整っていないことがあげられる。また、これまでも再三先送りされた経緯があり、まだ模様眺めの企業が多いとみられる。