文芸評論家の男性「テクハラ」で慰謝料440万円を支払い
こんなケースがありました。ある女性作家が出版した本に対して、文芸評論家の男性が「あの本は女性作家ではなく、その夫が執筆している」と雑誌でコメント。雑誌出版社もそのまま掲載したため、言及された作家夫婦が名誉毀損で訴え、慰謝料440万円が支払われた判例(2001年12月25日東京地方裁判所判決、判例時報1792号79頁)です。
文芸評論家の男性は「女性には知的で論理的、大胆で冒険的、あるいは、幅広く人間ないし社会の真実への洞察を備えた物は書けない。そのようなものは男性が書けるにすぎない」という、女性に対する差別と偏見からの発言でした。
さすがに、こんなことはオフィスではあり得ないと思うかもしれませんが、たとえば......
「女性にこんな大胆な企画書が書けるわけない。同僚の男性がゴーストライターをしたに違いない」
「あの男がこんなに女性目線の商品を作るなんて。どうりで所作が女っぽいと思った」
などのウワサ話がどんどん広まり本人の耳に入ることも考えられます。
うっかり発言が男女雇用機会均等法違反として行政指導を受けたり、また損害賠償請求を受けるなど、会社側が責任を問われる可能性もありますので気をつけたいですね。(篠原あかね)