2012年12月末に1万円台だった日経平均株価は、17年末に2万2000円台で取引されていた。これはアベノミクスの成果といってよいのだろう。5年で、2倍以上の水準まで上昇したことになる。
その頃、海外の株式はどのように推移していたのだろうか――。この間の米国経済は好調で、12年末に1万3000ドル台で取引されていたダウ平均株価(米国を代表する30社の株価をベースとした株価指数)は、17年末に2万4000ドル台まで上昇した。
米国株が世界を動かす
日本人投資家で取引前に、前日の米株式市場をチェックする人は少なくないだろう。米国株は、世界の株式市場の中で時価総額(米ニューヨーク株式市場に上場する銘柄の総額)が最も高く、全体の約50%を占めている。つまり、米国株はそれだけ世界経済に与える影響が大きいワケだ。
米国の主な株価指数は、ダウ平均株価(主要30社)のほか、ナスダック(新興企業が中心で、主要100社)やS&P 500(主要500社)があり、投資判断の目安として使える。
これらの株価指数が上昇基調にあるときに株を買い増して、下落基調になれば株を売って現金化する。そんな取引パターンがよいのだろう。
一方、米国の証券会社には、インタラクティブ・ブローカーズ(米国法人)などのように、使われていない口座の資金に対して利息を支払わなければならないところもある。日本人投資家のように買った株を放ったらかしにはできないし、それゆえ企業の活動動向を常にチェックする「体質」を身に着けているのかもしれない。
過去のチャート研究を通して米国株をみると、米国株は「順張り」の投資家にとって、うれしい値動きをする傾向があるようだ。つまり、上がり始めた株を買い、さらに高い値段で売り抜ける、といった戦略が有効であるといえるかもしれない。
308ドルのアマゾン株が3年で2012ドルに「大化け」したワケ
米国株投資の書籍で印象に残っているのは、「タートル流投資の魔術」(徳間書店刊)「オニールの成長株投資」(パンローリング刊)。いずれも上昇中の株式をさらに値上がりするだろうと期待して買う、「順張り」戦略で実績のある不朽の名作と思っている。
具体例をみると、米アマゾンは2015年1月、株価が308ドルだったが、そこから上昇の一途をたどって18年8月には2012ドルをつけた。誰もが知っているような大企業でも、新興企業さながらの「大化け」をすることが米国株では珍しくない。
では、なぜ米国株は時価総額の小さい新興株でなくとも、このような上昇をするのだろうか――。
一つは、日本よりも機関投資家(ヘッジファンド、保険会社、年金基金など)の数が遥かに多いことだろう。彼らの資金は個人投資家の数百倍から数万倍になる。機関投資家は大型株を中心に売買することを好むため、彼らが買いに入った株は時間をかけて上昇することになる。だから、上がり始めた株を買う戦略が強いのだ。(ブラックスワン)