政府は「移民じゃない」と強弁
最大の問題は、政府が「あれは移民ではない」と言い訳しているせいで、誰も移民受け入れの議論を本気で行っていないという点にある。
移民だからという理由で社会保障の輪から締め出すことは許されない。彼らを社会保障の枠組みにどこまで参加させるのか、そのコストはどうするのかは未定のままだ。
政治的な権利も誰も議論していない。将来、もし彼らが数十万人規模でデモを行い「我々に永住権と選挙権を!」と要求したなら、我々はどう対応するのか。そういう議論が行われている様子もまったく見られない。
「移民ではないのだから、面倒なことはすべて先送りしてかまわない」
そうした政府のスタンスのまま、日本社会はなし崩し的に大きな転換期を迎えている。
(城繁幸)