いまこそ「移民」を考える 事実上の受け入れなのに議論はなおざり(城繁幸)

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   政府が外国人労働者の受け入れに関して大々的に方針転換し、単純労働を含めて受け入れ拡大すると報じられている。

   まだ確定ではないものの、「特定技能1号」「特定技能2号」の二つの新たな資格を導入し、2号については最長10年間で、家族の帯同も認めるとされている。「移民は受け入れない」としてきた従来の政策からの大転換と言っていいだろう。

   【参考リンク】外国人労働者の永住可能に 熟練技能者対象 法務省、新在留資格創設へ

  • 「移民」の問題は世界中で問題になっている(写真はイメージ)
    「移民」の問題は世界中で問題になっている(写真はイメージ)
  • 「移民」の問題は世界中で問題になっている(写真はイメージ)

単純労働と永住権

   今回の政策案でのポイントは2点だ。

・事実上の単純労働での移民受け入れ解禁
   世界的にみれば、1年間の滞在であれば移民とみなされるため、1号5年、2号10年という今回の外国人労働者受け入れは事実上の移民といっていい。
   一応、受け入れ業種は限定されるものの、高いスキルが必要な業種ではないため、少なくとも1種については事実上の単純労働の受け入れというべきだろう。

・更新の有無によっては事実上の永住権も
   現段階では確定していないが、2号については資格の更新によっては事実上の永住権となる可能性もある。実際、10年も家族と一緒に日本で暮らした人間に「10年経ったから出ていけ」とは言えないだろうし、言うべきではないと筆者も考える。
   10年も家族帯同で受け入れるのなら、死に水をとってあげる覚悟で受け入れるべきだし、それができないのなら、10年も他人の人生を引っ掻き回すのはやめるべきだ。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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