米ニューヨーク株式市場が2018年10月10日夜から11日未明にかけて、突如、急落した。ダウ工業平均株価は、ひと晩で1100ドル以上の値下がりとなった。
東京株式市場もこの流れに巻き込まれ、11日の日経平均株価は終値で前日比915円18銭安の2万2590円86銭。一時は1000円を超えて急落した。それどころか、中国・上海や香港、欧州などの株式市場も軒並み下落。「米国株ショック」が世界に連鎖する展開になった。
ここ数年は好調だった米国株も、ついにバブル崩壊となるのだろうか。それにつられ、日本株も軟調となるのだろうか――。ここは冷静になって、過去の株式相場の動きを振り返ってみたい。
「株価急落」を予測したい!
長くマーケットと付き合っている投資家であれば、今回のような株価急落はそう珍しいことではない。実際、2018年2月にも急落はあり、その時は1月の高値から2月前半の安値までで、ダウ工業平均は3000ドル以上も値下がりしている。
しかし、その後株価はもみ合いを続けた後、時間をかけて再び上昇した。株価上昇に沸き沸き、9月には1月の高値を更新。10月4日の米国株は、2万6789.08ドルの高値を付けた。
米国株も日本株も、2011年のギリシャの金融危機、15年8月のチャイナショック、16年2月と18年2月の原因不明の急落などに見舞われながら、時間をかけて上昇してきたのだ。したがって、今回の急落を即「バブル崩壊のはじまり」と結びつけるのは、早計に過ぎるといえるかもしれない。
過去10年間のダウ工業平均株価の推移(USドル)
過去10年間の日経平均株価の推移(円)
「ディストリビューション」と呼ばれる分析
ところで、株式投資の経験がある人なら、一度はこう思ったことがあるかもしれない。なんとかして急落を予測することはできないのか、と。
株価チャートの読み方のひとつに、「出来高分析」と呼ばれるものがある。出来高とは、市場全体の売買株数を示す。売買高ともいう。相場の勢いをみる参考指標で、出来高と株価の関係はとても深く、両者の動きには常に注目することが必要だ。
つまり、同じ100円の上昇でも、1日に3億株取引された日と6億株取引された日では、後者のほうが相場に買いの勢いがあるということになる。
米国の投資家のあいだでは、次のような日が続くと、相場が急落しやすくなることが知られている。
それは、
(1)当日の終値が、前日の終値よりも安い(その日、株価が下落している)
(2)当日の出来高が、前日の出来高よりも大きい
というもの。
上昇基調の相場で、これが直近1か月(約21営業日)間に5日以上あれば、危険信号とされる。これは米国の投資家のあいだでは「ディストリビューション」と呼ばれ、「オニールの成長株投資」(パンローリング刊)や「1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術」(東洋経済新報社刊)に詳しく書かれている。
2015年のチャイナショック前の日経平均株価は、直前の1か月間でディストリビューション日が6日あったとされている。そして、今回の株価急落も米国の代表的な株価指数であるナスダック総合指数のチャートを調査したところ、なんと8日もあることがわかった。
もしかすると、株価の急落は事前に察知できるのかもしれない。(ブラックスワン)