「ディストリビューション」と呼ばれる分析
ところで、株式投資の経験がある人なら、一度はこう思ったことがあるかもしれない。なんとかして急落を予測することはできないのか、と。
株価チャートの読み方のひとつに、「出来高分析」と呼ばれるものがある。出来高とは、市場全体の売買株数を示す。売買高ともいう。相場の勢いをみる参考指標で、出来高と株価の関係はとても深く、両者の動きには常に注目することが必要だ。
つまり、同じ100円の上昇でも、1日に3億株取引された日と6億株取引された日では、後者のほうが相場に買いの勢いがあるということになる。
米国の投資家のあいだでは、次のような日が続くと、相場が急落しやすくなることが知られている。
それは、
(1)当日の終値が、前日の終値よりも安い(その日、株価が下落している)
(2)当日の出来高が、前日の出来高よりも大きい
というもの。
上昇基調の相場で、これが直近1か月(約21営業日)間に5日以上あれば、危険信号とされる。これは米国の投資家のあいだでは「ディストリビューション」と呼ばれ、「オニールの成長株投資」(パンローリング刊)や「1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術」(東洋経済新報社刊)に詳しく書かれている。
2015年のチャイナショック前の日経平均株価は、直前の1か月間でディストリビューション日が6日あったとされている。そして、今回の株価急落も米国の代表的な株価指数であるナスダック総合指数のチャートを調査したところ、なんと8日もあることがわかった。
もしかすると、株価の急落は事前に察知できるのかもしれない。(ブラックスワン)