年々増加する「人手不足倒産」 大都市部、小規模企業が苦境に

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運送、建設、派遣業の倒産の背景

   さらに業種を細かく分類して累計件数をみると、「道路貨物運送」が最も多い38件となった。景気回復や通販市場の拡大で配送需要が高まるなか、ドライバー不足による新規受注難から資金繰りの悪化を招き、倒産に至ったケースが目立つ。

   「老人福祉事業」は、介護福祉士やケアマネージャーなどの有資格者の確保が追いつかず、十分なサービスを提供できないなどの理由から27件発生した。

   「木造建築工事」は職人不足を背景とした外注先の確保難などから、36件。「労働者派遣」は製造スタッフやIT技術者など、派遣人員の不足などから21件となった。

   5年半の累計で最多の建設業を含め、慢性的な現場職人や施工管理者の不足により、労務費の上昇が深刻化している業種がみられた。

   また、5年半の倒産累計件数を都道府県別で比較すると、「東京都」が65件で突出。「福岡県」の34件、「大阪府」の32件と続いている。大都市ほど生き残りが激しい様子がうかがえる。

   この10月から最低賃金(時給)が全国平均で26円引き上げられた。最も高い東京都では985円と、この10年間で194円も値上がりし、都市部では時給1000円以上の求人も当たり前となりつつある。

   人件費以外にも、企業を取り巻く環境は輸送費や原材料価格の高騰など、経営コストの上昇圧力が強く、小規模企業ほど厳しい状況におかれている。

   深刻な人手不足への対処で、賃上げせざるを得ない企業が増えるなか、高待遇での従業員確保が困難な小規模企業を中心に、今後も「人手不足倒産」のさらなる増加が懸念される。

   2018年8月の有効求人倍率(季節調整値、9月28日の厚生労働省発表)は1.68倍と、高水準が続いている。全国約1万社を対象とした調査によると、2018年9月「正社員が不足している」と答えた企業は全体の51.7%を占め、1年前の48.2%より3.5ポイント増加していた。

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