ビットコイン「信者」がいる一方で、ビットコイン暴落説をずっと唱えている人がいます。
ビットコインの急騰劇はまさしくチューリップバブルのようだと、「行って来い」の相場になるのではと考えている人も多いようです。
しかし、彼らのほぼすべてが表面だけの知識しかなく、理論的におかしいことが多々あります。今回は現状、ビットコインの大暴落は考えづらいということを説明していきます。
ビットコインの価格に重要なのは「マイニングコスト」
ビットコインは、よく「金(ゴールド)と似ている」といわれています。それは、マイニング(採掘)によってビットコインが獲得できるからです。
金の鉱山には採掘コストというものがあって、その価格を上回らなければ利益が出ないため閉山となってしまいます。しかし、世の中では装飾品以外にも電子機器などの多くで金が使われており、需要が絶えないために、金の価格は採掘コストを割り込むことは、ほぼありません。
ビットコインも価値の保存や送金として日々使われており、その需要がゼロになることは考えづらいでしょう。
そのため、ビットコインも金と同じように採掘コスト(=マイニングコスト)を割り込むことは考えづらいというロジックが成立します。
では、ビットコインのマイニングコストはいくらでしょうか?
これには、マイニングマシンの価格や採掘の難易度、ハッシュレート(マシンの計算力の測定単位で、hash/s=1秒間に1 ハッシュなどの単位で表される)など多くのことが影響します。すべてを説明すると難解になりますので、ざっくりと見ていきましょう。
大手マイナー(採掘者)のF2Pool(ビットコインのマイニングで影響力のある有力なマイニングプール。マイニングプールとは、複数で協力してマイニングを行う集団をいう)によると、9月時点でのマイニングコストは最新マシンでは約43万円。型落ちのマシンでは128万円だと公表しました。
ちなみに、マイナーの収益は、マイニングコストに経費を加算したものを、ビットコインの価格から差し引いたものになりますから、マイニングコストが安ければ安いほど利益になります。
ビットコインのマイニングマシンとして有名な「S9」では50万円程度となっており、現在の価格でも十分に利益が出ていることがわかります。
もちろん、これは中国の電気代(1~3円/kWh)が安い地域での価格ですので、日本などの電気代が高い地域ではマイニングコストが跳ね上がることになります。
そう聞くと、2017年のビットコインは50万円以下で全員赤字だったのでは?と思うかもしれませんが、それは違います。
ビットコインをマイニングする人が増えると、マイニング難易度という指標が上がり、優秀なマシンでないとビットコインを獲得することが難しくなります。
・ビットコインのマイニング難易度(2016年9月~2018年9月)
これはゴールドラッシュの時には、誰でもつるはしとスコップで金を掘り当てることができたのに対して、今では金の採掘会社しか掘り当てることはできなくなっているのと同じです。
ビットコインが登場した当初は、スマートフォンやPCでもマイニングが可能だったのです。しかし今ではマイニングマシンの開発が進み、競争は激化しています。そうすると、マイニングコストはますます上がる可能性があり、これがビットコイン価格の底上げにつながるのです。