ビル・ゲイツ、ついに首位転落!「unseat」されても「絶対王者」のワケ(井津川倫子)

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   経済誌フォーブスが発表した2018年版米国長者番付で、米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が初めて首位につきました。

   これまでは、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が24年間にわたり首位の座をキープ。半世紀近く「米国イチの大金持ち」だったビル・ゲイツ氏が負けたとあって、世界中に激震が走りました。果たして、「絶対王者ビル・ゲイツ」は本当に敗北したのでしょうか!?

  • 「アマゾン」はもうけすぎ!?(写真はイメージ)
    「アマゾン」はもうけすぎ!?(写真はイメージ)
  • 「アマゾン」はもうけすぎ!?(写真はイメージ)

「もうけすぎ」だよ、アマゾン。

   新王者になったジェフ・ベゾス氏の保有資産はなんと1600億ドル(約18兆円)! フォーブスの米国長者番付で資産保有額が1000億ドルを超えるのは初めてだそうですから、米国人初の「1000億ドル長者」が誕生したことになります。

   しかも、2位のビル・ゲイツ氏(保有資産970億ドル)に、630億ドルもの大差をつけて「ぶっちぎり」の第1位!

   新番付が公表されるやいなや、各国のメディアがこぞって速報を流しました。

Jeff Bezos unseats Bill Gates on Forbes list of richest Americans
(ジェフ・ベゾスが、フォーブスの米長者番付で、ビル・ゲイツから首位の座を奪った)
unseat:議席を奪う、(公職から)退かせる、落馬させる

   「unseat」「seat」(椅子)から外す、つまり、政治家から議席を奪ったり、公職の座から追いやったり、馬から人を落とす(落馬させる)、といった意味で使う動詞です。

   半世紀近くも「首位」の座をキープしてきたビル・ゲイツ氏ほどになると、政治家や公人といったステータスで報じられるのでしょうか。

   それでも、ビル・ゲイツ氏が「絶対王者」の座を譲り渡したかというと、どうやらそうでもない様子。ベゾス氏はゲイツ氏に比べて「まだまだ足りない」と批判されています。

   フォーブスは2018年から、慈善活動への貢献度を1~5の範囲で示す慈善スコアを導入しましたが、ベゾス氏のスコアは下から2番目の2。最高評価の5だったゲイツ氏や、フェイスブック創業者マーク・ザッカーバーグ氏(長者番付4位)と比べてその低さが目立ちました。

   ベゾス氏は先日、ホームレス支援や学校設立のために立ち上げた慈善基金に20億ドル(約2230億円)を寄付すると発表。社会貢献活動に力を入れ始めてはいるものの、「ゲイツを見習え」「もうけすぎ」という批判が目立ちます。「絶対王者」の座は、簡単には奪取できないようです。

「中国のアマゾン」創業者、「英語教師に戻りたい!」

   ビル・ゲイツ氏の影響力は他国の経営者にも及んでいます。

   先日、「中国のアマゾン」こと、中国ネット通販・アリババ集団は、創業者の馬雲(マーユン、ジャック・マー)会長が1年後に退任することを発表しました

   英語教師出身のマー氏は1999年にアリババを共同創業。世界最大級のインターネット企業へと成長させた億万長者です。そのマー氏が退任を発表するにあたり、「ビル・ゲイツ」を引き合いに出してこう語りました。

There's a lot of things I can learn from Bill Gates
(ビル・ゲイツから学べることはたくさんある)

I can never be as rich, but one thing I can do better is to retire earlier.
(彼ほどお金持ちにはなれない。でも、一つだけ彼よりうまくやれるとしたら、早くリタイアすることだ)

   そして、経営者の座を後任に譲り、自分は英語教師に戻る決意をした理由をこう述べました。

The world is big, and I am still young, so I want to try new things
(世界は広い、そして私はまだ若い。だから、新しいことにチャレンジしたいんだ)

   ビル・ゲイツ氏は、これまでビジネス界に与えたインパクトもさることながら、社会貢献活動などさまざまな分野で他の経営者たちに影響を与えてきました。良くも悪くも「ビル・ゲイツと比べる」という風潮があるようです。ゲイツ氏の「絶対王者」の地位は、しばらくは揺るがないことでしょう。

   では、「今週のニュースな英語」は、「unseat」(座を奪う)を使った表現です。「unseat」は、単に「職を奪う」というよりも、「権力の座から外す」というニュアンスを含みます。政治や経済ニュースで使われることが多いようです。

He was unseated at the general election.
(彼は、総選挙で落選した)
The company got unseated in new supercomputer ranking
(その会社は、新しいスーパーコンピューターのランキングから外れた)
The board has voted to unseat the CEO.
(取締役会は、CEOを解任する決議をした)

   権力の「座」や「イス」とりゲームなど、「seat」(イス)を奪い合う表現は日英共通のようです。

   それにしても、「米国イチの大金持ち」というイスに24年間も座り続けていたビル・ゲイツ氏。イスを「unseat」されてからの生き方もきっと、後生に影響を与え続けることでしょう。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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