メーカーが嫌う「同一労働同一賃金」
「経営に支障が出る」と答えた企業に、どの内容が問題なのかを聞く(複数回答)と、第1位は「時間外労働(残業)の上限規制」で66%だった。
その理由については自由回答で、「結果的にサービス残業の増加で補う状態になってしまうと思う」(金融・コンサル関連)という声が多かった=図2参照。
第2位は「年次有給取得の義務化」の54%だった。
「人員不足の状況で、有給休暇をとる人がいる分、別の人の働く時間が長くなるため、支払う賃金が上がる。その結果、利益を圧迫してしまう」(サービス関連)
との声があった。
第3位が、「同一労働同一賃金の義務化」(43%)で、「労務費の上昇が考えられ、経営を圧迫しそう」(流通・小売関連)というワケだ。
業種別にみると、「経営に支障が出る」項目の上位が違ってくる。非正規雇用が多いメーカーでは、「同一労働同一賃金の義務化」(62%)が敬遠されて1位。個々の従業員がマイペースで仕事をすることが多い広告・出版・マスコミでは、「年次有給取得の義務化」(70%)が非常に困るようだ。
一方、全体的に「経営に支障が出る」という項目が少ない業界がある。裁量労働制の導入が進んでいる金融・コンサルティング業だ。もともと「時間外労働」を「みなし残業」として給与に織り込んでいるため、「時間外労働(残業)の上限規制」で経営に支障が出ると答えたのは、わずか13%。一番困るのは「年次有給取得の義務化」で38%だった。