今、社長が最も認識すべき言葉「教科書を信用するな!」 その真意はどこに!(大関暁夫)

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言葉が曲解されることもある

   本庶氏のノーベル賞受賞は医学の世界における偉大なるチャレンジでしたが、その信念の根底にある考え方は、まさに今の時代を生き抜くための大いなる真理を教えてくれているかのように思えます。

   そんな話の展開でM社長とやりとりしていると、突然社長は賞賛から離れて一抹の不安を投げかけてきました。

「ただ少し心配なのは、若い連中がこの話を聞いて自分の都合のいいように解釈しはしないかということ。それで、まだ社員には『みんな、本庶先生に学んで、教科書に囚われず自由な発想で仕事に臨もう!』とは言い兼ねているのです。どう思いますか?」

   社長が言っていることは、本庶氏の「教科書に囚われるな!」という言葉は曲解されると、ルールやマニュアルになど無視してでも自由な発想を優先して仕事に取り組めと言っているかのように誤って捉えられかねない、ということのようでした。

   誤解を生まないためのポイントは、本庶さんの言葉にある「教科書」は決して否定されるべき存在はないということを、しっかりと理解させることにあるのではないか、と私は思いました。

   すなわち、「教科書」や会社でそれにあたるルールやマニュアルは、基本を身に付けるうえで大切なことであるというのは、厳然たる事実に相違ありません。問題は、「囚われるな」と言っている、この扱いをどのように理解するか、なのです。

   ようするに、「教科書」はバカにしないでしっかり身に付けることが大切。でも、いつまでも「教科書」にばかり頼っているのではなく、その内容をマスターしたらそれをベースにして自分なりの発想でアドリブを試みてみなさい、ということになるのではないでしょうか。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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