一般用医薬品のうち医療用から転用された「スイッチOTC医薬品」(Over The Counter。医療用医薬品の成分を含み、処方箋なしで買える市販薬)市場が、堅調だ。2017年は前年比3.0%増の1651億円で、一般用医薬品に占める割合は25.4%となった。市場調査の富士経済が2018年9月3日に発表した。
政府は、患者が自分自身で病状を診断して市販薬で治療する「セルフメディケーション」を2017年にスタート。その影響に加えて、富士経済は「目薬などの花粉症対策や外皮用薬、風邪・解熱鎮痛剤が好調で、それが全体を押し上げました。18年も、春先の花粉が多かったため、引き続き好調です」と話している。
「セフルメディケーション税制」が後押し
セフルメディケーション税制とは、自分自身の健康管理を心がけ、その年に会社の健康診断や自治体のメタボ検診などを受けていることを条件に、一般用医薬品のうち医療用から転用された「スイッチOTC医薬品」を1年間に1万2000円以上購入した人を対象に、その購入費用について所得控除を受けることができる、医療費控除の特例のひとつ。
スタートしたばかりの制度だが、「スイッチOTC化」の促進は国を挙げての取り組みで、「セルフメディケーション税制に対する消費者の理解が広まり、活用が促進された」と、みている。
調査では、セルフメディケーション税制対象の商品を「スイッチOTC医薬品」とした。2017年は前年比3.0%増の1651億円で、市場は堅調に拡大。18年は3.8%増の1714億円を見込んでいる。
品目別にみると、総合感冒薬、解熱鎮痛剤、外用消炎鎮痛剤の構成比が大きく、合わせて50%を超えている。
総合感冒薬は多くのブランドがスイッチOTC化しており、その割合は67.1%(2017年)を占める。解熱鎮痛剤は、ロキソプロフェンナトリウム水和物やイブプロフェンの配合品が好調。外用消炎鎮痛剤はジクロフェナクナトリウムの配合品が、テレビCMをはじめ企業の積極的なプロモーションによって売り上げを伸ばしている。
また、規模は小さいながら、中性脂肪値改善薬や禁煙補助薬、膣カンジダ治療薬などはスイッチOTC医薬品が占める割合が100%に達している。