消費税が現行8%から10%に引き上げられる2019年10月まで、あと1年。生活用品などの花王「生活者研究センター」の調査によると、2018年4月時点で、首都圏に住む既婚女性の9割超が「増税は買い物・消費に影響する」と思っていることがわかった。10月5日の発表。
消費税率の8%から10%への引き上げは、当初2015年10月の予定だったが、政府は景気低迷などを理由に2度にわたり先送り。消費税率10%への引き上げについて、安倍晋三首相は「予定どおり、2019年10月に実施する考え」を表明している。
消費増税の実施予定時期「知っている」は約半数
花王「生活者研究センター」は、生活者の買い物や家計意識についての調査を継続的に実施してきた。2019年10月予定の消費税率の10%引き上げについて、約1年半前にあたる18年4月時点で、首都圏在住の既婚女性のうち、「かなり影響すると思う」との答えが58%、「少し影響すると思う」が34%で、合わせて92%が「影響すると思う」と答えた=図参照。
これまでも消費税が段階的に上がった経験からか、買い物・消費に対する影響としては、
「必要な物しか買わなくなる」
「セールの時にまとめて買う」
などの買い方の変化や、「高額品」「嗜好品(菓子など)」などの買い控えを想定しており、調査対象の女性からは、
「1万円買ったら消費税が1000円になるから一層気になる」
「1000円以上の買い物は慎重になる」
との声が寄せられている。
しかし、消費税率の10%引き上げの実施予定時期を「知っている」と答えた女性は、約半数。6割の女性が「増税までに家計の見直しをするつもり」という意欲をみせたものの、増税時期の認知状況別にみると、「知っている」女性の家計見直しへの意欲は69%。これに対して「開始時期までは知らなかった」人は54%にとどまり、「開始時期までは知らない人の増税への準備はこれからといった印象」としている。
2014年の増税時を思い出して......
調査では、2014年に消費税率を5%から8%へ引き上げた時と比較。14年当時は、09年のリーマンショック、11年の東日本大震災を経験したのち、「アベノミクス」効果による社会変化に、家計が対応力をつけた時期にあたった。
久しぶりの増税とあってか、食品や日用品を中心に増税直前に駆け込み需要が生じた。米やレトルト・インスタント食品、トイレットペーパー、生理用品などを、増税直前に買い求める女性が多かったようだ=図参照。
14年の「前倒し購入」の有無とその行動への思いをみると、増税前に前倒し購入した人もしなかった人も、いずれも自分たちの行動を肯定的に受けとめた女性が大多数。ただ、日用品を前倒し購入した女性の中には、
「あわてて予定以上に買ってしまった」
「ついつられて買ってしまった」
など、計画的ではなかった買い物を反省している様子もあった。
花王「生活者研究センター」は、増税までに家計を見直したいと思っているならば、この1年を使って「家計の中の要、不要の見極め、暮らしのなかで大切にしたいこと、支出が減らせない場合は、収入を増やす方法などを冷静に考えてみることも大事です」と、アドバイス。買い物についても、14年の増税時の経験や反省を生かして、計画的に準備を始めておくことが大切としている。
なお調査は、2014年3~4月の「消費税増税前後の生活者調査」と14年7月の「増税意識定量調査」、2018年4月の「暮らしと購買行動についての調査」(いずれも、対象は首都圏在住の20~60代既婚女性500人)と、家庭訪問インタビューによるもの。