「お互い様」は独身女性の将来にもプラス
――つまり、子持ち女性について、「あの人は周囲に気を使う人だから、サポートする」「あの人は自己中心的だから、協力しない」といった、当事者の人柄に関する感情的な問題にしてはいけないということですか。
川上さん「人間ですから、どうしても好き嫌い感情を完全に消し去ることは難しいでしょう。しかし、職場はあくまで仕事するための場ですから、お互いの理解が不十分で意思疎通ができない状態は、マイナスでしかありません。上司や会社側が、チームでスムーズに仕事するための目線合わせや環境づくりを、マネジメントを通して導いていく必要があります。
お子さんがいる社員は、自分が帰った後の人たちが仕事しやすい状態をつくり、協力を得やすい人間関係を保つスキルを磨くことが大事です。残る側としても、お子さんがいる同僚と上手く仕事をするスキル・経験を身につければ、自分自身のためにもなります。外国人やシニアの働き手など、これからますます職場の多様性が重視されていく時代になりますから、きっとキャリア形成にプラスになるでしょう。
それにたとえいま、お子さんがいなくても、いつ介護などで同じように家庭の制約を受けることになるかわかりません。『お互い様の気持ち』が必要です」
(福田和郎)