「独身女性は子持ちの分まで残業しないとダメ?」ネットで炎上騒ぎ 専門家に聞いてみた

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元凶は「理想論」の大好きな会社と無能な上司

   そして、問題の根源は無能な上司にあるという声が多かった。

「3歳児がいます。申し訳ないですが、独り身の時と同じには働けないです。投稿者が同僚に『子供がいても同じようにやれ』と言ったとしたら、『女性が輝く』時代の流れに反します。同僚は『いつもごめんね』などの言葉が足りない人かもしれないし、上から可愛がられるちゃっかりキャラなのかもしれません。でもとにかく文句は上司に言って」
「そもそも業務量が残業しなくてはならないほど多ければ、上司が人を増やすべき。人を増やせないのなら、業務の選択と集中で、優先度の低い仕事はバッサリと切り捨てる。上司のマネジメント能力が皆無です」

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、この炎上騒ぎの意見を求めた。

   ――投稿の炎上騒ぎは、一見、子育て中のため定時に帰る女性の分の仕事を、独身女性が負担するという、子持ち女性と独身女性の対立のようにみえます。特に、子持ち女性の「憎まれキャラ」が際立っているため、対立が目立ちますが、問題の本質はどこにあるのでしょうか。

川上敬太郎さん「まず、企業側の問題があると思います。女性が活躍する上で、企業側が本来取り組むべき大切なことをないがしろにしています。『理想論が大好き』と言われてしまった企業上層部の姿勢と、相談に乗ろうともしない上司の無理解こそが、職場に混乱をもたらした元凶です。
   私たちは以前、働く主婦に対し、『女性が活躍する上で企業に取り組んでほしいことは何か』を調査したことがあります。その中で2番目に多かった項目が『上司や同僚など職場の理解を促進してほしい』でした。これは、4番目の『保育所など子どもを預ける場所の設置や利用を補助してほしい』という項目より要望が強かったのです。
   働く主婦層は、それだけ職場の理解を望んでいるのです。逆に言えば、主婦層が働くことに対する職場の理解がまだまだ不十分だといえます。自由回答の中には、『子どもが病気になった時、重要な仕事を任されては休みにくい』という声や、『同僚の負担増加をできるだけ軽減できる組織体制や、仕事分担の仕組みが必要だ』という声もありました」

   ――その声は、まさに今回の問題をついていますね。子育て中のママが定時に帰った後、職場に残る子どものいない女性に気を使っている点で...。

川上さん「そのとおりです。『独身者は子持ちの分まで働かなければいけないのか』という投稿タイトルは、いま日本中で起きている軋轢(あつれき)を象徴しています。まずは会社側がしっかりとイニシアティブをとって、上司、同僚を含めた職場全体が、お互いの立場を理解しあう状態をつくることが大切です。一方、職場の理解が進んでいないというと、子育てママより、お子さんがいない人がもっと理解すべきだ、というふうに捉えられがちですが、必ずしもそうとばかりは言い切れない面があります。当人同士のあいだにも問題があるように感じます。
   何もお互いが聖人君子になれ、ということではなく、それぞれが置かれている状況を事実として受け入れた上で、ストレスなく、生産性高く仕事できる環境を共につくりだすスタンスが求められています」
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