デキ婚、増えてる? 減ってる? 統計調査でも答えが出ない意外な理由

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   「友人の○○さん、デキちゃった婚だって」「あら、私もよ」。最近はデキ婚が増えているせいか、芸能人の結婚のニュースでも最後に「なお、△△さんは妊娠しておりません」とわざわざ伝えるケースが目立つ。

   一方、全国の結婚式場ではデキ婚を「授かり婚」「おめでた婚」「マタニティー婚」などと華やかなイメージで呼び、割引プランまで用意する盛況ぶりだ。

   そんななか、ニッセイ基礎研究所の研究者が「デキ婚」の実態を人口データから明らかにする報告を発表。それによると、意外にも毎年減り続けているという。いったい、なぜだろうか――。

  • オメデタと結婚の「幸せ」がダブル?(写真はイメージ)
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厚労省の統計では減っているけど......

   このレポートは、ニッセイ基礎研究所・生活研究部の井上智紀・主任研究員がまとめた「授かり婚は増えている? 減っている?―データで見える新婚家庭の子作り事情」 だ。

   使ったデータは、厚生労働省「人口動態統計」。この統計は2006年から、結婚期間1年未満に生まれた赤ちゃん(第1子)について、生まれるまでの経過月数が載るようになった。

   ヒトの赤ちゃんは「10月10日」で生まれるとされる。そこで井上さんは、結婚から第1子出生までの期間が「10か月未満」の場合を「デキ婚」とみなして全体に占める割合を調べた。

   その結果、デキ婚の割合は2006年の30.8%から毎年少しずつ下がり、2014年には6ポイント減って24.7%になった=図表1参照。カップル全体で4組に1組の割合だ。

   そして、デキ婚の母親の年齢を見ると、やはり20代前半以下(10代~24歳)が圧倒的に多い=図表2参照。2014年の時点で、10代の母親の85.7%、20代前半(20~24歳)の64.8%がデキ婚。20代後半(25~29歳)も25.1%と、じつに4人に1人がデキ婚だった。

   2006年時点と比べると、10代は高い水準で横バイだが、20代は約4ポイント下がっており、「この世代で婚前の妊娠を避けるようになったことが、デキ婚減少の理由ではないか」と、井上さんは推測する。

   それにしても、どうしてデキ婚が減ったのだろうか。「増えている」という世間のイメージとは逆ではないか――。J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に、井上さんはこう説明した。

「近年の、避妊教育の充実が影響していると考えられます。想定外の妊娠と関係があると思われる人工妊娠中絶の件数も、人口対比では減少しています。特に20代前半で減少幅が著しく、2005年の20.1%から2015年の13.5%と、約7ポイントも下がっています。15~49歳全体でも、10.3%から6.8%と、約4ポイント下がっていますから、教育効果があるのではないでしょうか」

「隠れデキ婚」って、どういうこと!?

   しかし...... 井上さんが意外なことを言った。「じつは、本当にデキ婚が減っているか、増えているかは、統計上見えづらいのです」。どういうことか?

   分析に使った「人口動態統計」では、出生届を元に集計している。そして、出生届には「生まれた子の父と母」について、「同居を始めたとき」の記入欄があり、「結婚式をあげたとき、または、同居を始めたときのうち早いほう」を記入するとある。

   これが「結婚から出産までの10か月未満」というデキ婚の定義の「結婚日」になるわけ。つまり、婚姻届の提出日ではないのだ。

「だから、同棲カップルが妊娠に気づいてあわてて婚姻届を出すようなケースは、同居を始めた日がかなり前になるので、私のレポートのデキ婚にはカウントされません。
婚姻届にも結婚生活に入った日(同居生活開始日)を記入する欄があり、婚姻届を提出するまでの期間に関する統計資料もあるのですが、そのデータでも婚姻届の提出まで、ひと月未満の割合は低下傾向にあるようです。婚前の同棲期間が年々長くなり、また同棲する割合も増えて、若い人を中心に同棲から結婚へという流れが広がっているためと考えられます。この結果、ますます統計上のデキ婚が見えにくくなっているといえます」

   ということは、実際は「隠れデキ婚」がもっと多い可能性があるということだろうか。ちなみに、リクルートブライダル総研が毎年実施している「結婚トレンド調査」によると、結婚を決めた理由として「子どもができたから」をあげる割合は、調査年に変動があるものの、ずっと3~5%で横バイを続けているそうだ。

   こうしたデータから井上さんは、

「統計上は見えにくいですが、デキ婚自体は減っているわけではないと思われます。増えているかどうかは不明ですが」

と語っている。

   井上さんは、デキ婚カップルや、その家族にこうアドバイスした。

「妊娠・出産や結婚が想定外のものであったとしても、新しい命を育んでいく責務が夫婦それぞれの両肩にかかっていることは事実です。子育てには多くの困難が伴いますから、カップルには、必要なときには周囲に助けを求める勇気をもっていただきたいし、ご家族やご友人も、夫婦2人の責任として突き放すことなく、サポートしてあげていただければと思います」

(福田和郎)

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