世界中に衝撃を与えた大リーグ、ロサンゼルス・エンゼルズの大谷翔平選手のメジャー1年目が終了しました。オープン戦こそ数字が伴わなかったものの、いざレギュラーシーズンが始まると投打で大活躍。「two‐way」(二刀流)の活躍ぶりは、「ベーブ・ルース2世」と絶賛されました。
4月に続き9月のア・リーグ月間最優秀新人にも選ばれた大谷選手。日本人選手で2001年のイチロー選手(シアトル・マリナーズ)以来となる新人王のタイトルも、視野に入ってきました。
ベテラン監督も!「ショウヘイは特別だよ」
大谷翔平選手は、シーズン中盤こそ右ひじ故障で戦線を離脱したものの、シーズンを通して打者では打率2割8分5厘、22本塁打、61打点をあげ、投手では10試合に登板し、4勝2敗という成績を残しました。
心配されたケガも、シーズン終了の翌日には、右ひじ靱帯(じんたい)の再建手術(通称トミー・ジョン手術)をロサンゼルス市内の病院で受けて、無事成功したことを球団が発表。来季は打者に専念し、「two‐way」(二刀流)が復活するのは2020年以降になるだろう、と報道されています。
報道を見る限り、大谷選手は、バツグンの成績だけではなく、その「人間力」ですっかりチームに溶け込んだ様子です。シーズンが終了するやいなや、エンゼルスの幹部たちがこぞって最大級の賛辞を贈りました。
並み居るライバル球団を退けて大谷選手を獲得したエンゼルスのゼネラルマネージャー(GM)のビリー・エプラー氏は、大谷選手を次のように讃えました。
Shohei Ohtani is the most fascinating player I've ever laid eyes on
(大谷翔平は、私が見つけた最も魅力的な選手だ)
fascinating:魅力的な
lay eyes on ~に目をとめる、見つける、発見する
エンゼルスを率いる名将マイク・ソーシア監督もシーズン終了後のインタビューで、大谷選手の活躍ぶりを、こう評しています。
What he's done is exceptional
(彼が成し遂げたことは特別だ)
exceptional:異例の、まれな、特別な
He's an exceptional talent
(彼はまれな才能の持ち主だ)
数多くの「一流中の一流」選手たちを見てきた大リーグの猛者でさえ、大谷選手は「一番魅力的」で「まれな才能の持ち主」というのですから、その素質はホンモノ。高校時代から大谷選手の姿を見てきた私たちとしては、何だかうれしい気持ちになりますね。
誰もが認める「正しい判断!」
大谷選手は最終戦直前に行われたインタビューで、自身のメジャー1年目を振り返り、こう語っています。
Every day I come to the field, every game I play, I feel more and more like I made the right decision
(毎日、球場に来るたび、試合でプレーをするたびに「自分の決断は正しかった」という気持ちが強くなっている)
日本の球界から、大リーグへと大きな舞台に飛び立って行った大谷選手。慣れない土地で苦労が多かっただろうと想像しますが、それでもプレーを楽しみながら成長している様子が伝わってくるステキなことばです。
「大リーグに渡る」という重大決心が、「正しい判断だった」と言い切れる人生って幸せですね。シーズン終了後すぐに手術をしたことからも、来季に向けた強い意気込みが伝わってきます。
今週の「ニュースな英語」は、そんな大谷選手の「I made the right decision」(僕の決断は正しかった)から、「right」(正しい)を使った言い回しを取り上げます。
まず、後ろに前置詞の「for~」をつけると「~にとって正しい決断」という意味になります。
I made the right decision for the company
(私は、会社にとって正しい決断をした)
「for」を「in」に代えると、「~において正しい決断」という意味になります。
I made the right decision in choosing a school
(私は、学校選びにおいて正しい決断をした)
「right person」は「適切な人」という意味で、ビジネスの場面でよく使います。そのまま「ライトパーソン」と言っても通じます。
He is the right person for this job
(彼は、この仕事に向いている=適切な人材だ)
We should find the right person to succeed you
(君の適切な後任者を見つけないといけない)
シーズン前、大谷選手のこれほどまでの活躍を誰が想像できたでしょうか?
賛否両論が飛び交うなか、大リーグに挑戦した大谷選手の「right」な決断に拍手を贈りつつ、「two‐way」にこだわって受けた大手術が「right」な決断であることを、心から祈りたいと思います。(井津川倫子)