やはり始まるのか!? 「円安セカンドステージ」を読み解く(志摩力男)

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「対外及び対内証券売買契約等の状況」分析にはコツがいる

   そうなると、日米金利差だけが残ります。日本の金利はこれまでずっと「ゼロ」でした。それはデフレ的な状況だったからですが、相当な円安にでもならない限り、状況は変わらないでしょう。日銀の黒田東彦総裁の発言を聞いていても、就任当初の自信は影を潜め、半分あきらめ顔になっています。

   日本に金利がない以上、機関投資家はどこかにリターンを求めなければなりません。財務省が発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」を見ると、この2週間ほど外国の中長期債を大きく買い越しています。9月9日からの週が2兆3000億円、9月16日からの週が1兆5000億円の貸し越しです。

   ところで、「対外及び対内証券売買契約等の状況」の分析には少しコツが必要です。居住者による対外株式、債券の取得処分額、外国人による国内株式、債券の取得処分額が発表されるのですが、これらの数字を単純に足し算引き算して為替相場の分析に使う人が、高名なエコノミストの方にもいらっしゃいます。しかし、それは大間違いです!

   たとえば、3大メガバンクをはじめ、国内銀行は大量に外国の中長期債を購入していますが、その売買に伴う為替売買は生じません。

   銀行は短期金融市場で資金調達し、その資金で中長期債を購入します。要は、長短金利差を取りに行っているのです。対象となる国の長期金利がいくら高くても、短期金利や実際の調達コストが高い場合、金利差が開きません。

   その場合、儲けが出ないので、銀行はそのようなオペレーションをしないのです。

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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