どうする!? 急増する実家の「居候独身」(後編)研究者インタビュー

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50代独身男性は年上女性に活路アリ!

   ――なるほど。親が先回りしてアレコレ手を焼くと、子どもは居候独身者になりやすいというわけですね。ところでレポートでは、独身者は「おひとり様の老後」が不安なので、やっぱり45歳ごろから婚活を始める、とあります。こういう男女にどうアドバイスしますか。

天野さん 子どもがほしいのでなければ、45歳以上でも壁にはなりません。むしろ、「親亡き後は危ない人生ではないのか」とよく気がついたと思います。そして、気がついたなら1日も早く即行動です。実際、都内の結婚相談所の多くは40代の登録が一番多いと聞きます。そういう上の世代を見て、今の若い人は「結婚できるならさっさとしたい」と考えていますので、身近での異性のキープが早めです。
   若い女性は、人口減で相手候補が少ないことを実感しています。男性のほうがボンヤリして出遅れています。結婚マーケットは30代前半から一気に離婚経験者、特に女性が増えていきます。そして、同世代結婚が主流になっていますから、年齢が上がるほど相手候補が少なくなり、不利になります。
   「私は失敗したことは1度もない。ただ1万回、結果が出なかっただけ」というエジソンの言葉を胸に刻みましょう。最近、50代独身・婚活中の男性からメールを頂きました。「同じ年代を探せといわれるが、バブル世代の女性は金持ちで華やかな相手しか見てくれない。10回も動いたが見つからない(だから年下がいい...と言いたげ)」とあります。
   彼への処方箋は「華やかな相手を求める華やかな50代女性を、あなたが好むことが成果の出ない理由では。50代女性全員がそういう女性ではない。エジソンは1万回挑戦したのに、わずか10回でくじけてはダメ。いっそ年上女性を狙っては」でした。

   ――年上ですか。それはまた、意外なアドバイスに思えますが。

天野さん 50代の男性には、年上女性を狙う婚活を「がけっぷち活動」という人がいますが、本当に「崖っぷち」でしょうか? 女性は男性よりも長生きします。60代後半で約50万人、70代後半では約120万人以上も、女性のほうが男性よりパートナーと死別した方が多いのです。
   あるイケメン男性は、30代までジゴロ生活で、ひと回りも下の女性と恋愛していましたが、40歳前からさっぱりモテなくなりました。大慌てで10年間も婚活したあげく、50歳を前にした「がけっぷち活動」で、やっと結婚できたという例があります。

   ――そうか! 年上女性の結婚マーケットはとても広いということですね。

天野さん 私は長く祖母の介護をしました。おひとり様の老後は危険しかありません。病気・事故・貧困・防犯・防災......。いいことなしです。本当に「どうしても結婚できない」ならば、実家の親とではなく、同性とでも、施設でも、他の誰かと一緒に暮らすことを視野に、早めに活動してほしいです。高齢層を支えきれない社会が日に日に迫っています。今の社会保障が5年後、10年後にあると思っては絶対いけません。(福田和郎)

●プロフィール
天野馨南子(あまの・かなこ)
ニッセイ基礎研究所・生活研究部研究員
1995年日本生命保険入社、99年ニッセイ基礎研究所に出向。内閣府の「地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査」企画・分析会議委員、愛媛県法人会と松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバーなどを歴任。真の日本の女性活躍推進・少子化対策のあり方を考察・提言を発信している。

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