2018年もプロ野球のクライマックスシリーズ(CS)が近づいてきた。
CSは「日本一」を決める際に、まずパ・リーグ、セ・リーグそれぞれでペナントレース2位と3位のチームが「3戦2勝制」で戦い、勝者が今度はペナントレース1位のチーム(前もって1勝分が与えられる)と6戦4勝制で戦う。そして、ここでの勝者が初めて日本シリーズへの出場権を得るという制度だ。
そんなバカな!? Bクラスのチームが「日本一」
2017年のセ・リーグのCSがを思い出される。ペナントレースでは広島がぶっちぎりで優勝した。ところが、その広島に14.5ゲームもの大差をつけられていた3位のDeNAが、広島を破ってCSを制し、日本シリーズに出場した。
日本シリーズでDeNAは、パ・リーグのペナントレースとCSを制したソフトバンクに敗れたが、ファンはDeNAの日本シリーズ出場を心の底から喜んでいただろうか。ファンに限らず選手も、何か後ろめたい気持ちだったのではなかろうか。
他方、広島のファンにとっては悔しさ以外の何物でもなかったはずだ。CSは2007年に始まったが、これまでにも似たことが何度かあった。ペナントレースで2位、3位のチームが日本シリーズを制したこともある。
加えて、今年は雨の影響で、10月13日のCS開幕までに、ペナントレースの全日程を消化できない可能性も出てきた。そんな場合でも、11日時点での順位でCS進出チームが決まる。
セ・リーグは、いま3位までのAクラス争いが大混戦で、CSに出た3位のチームがその後、4位以下のBクラスに転落することもありうる。つまり、Bクラスのチーム(勝率5割を切っているかもしれない)が「日本一」になる「珍事」も生じかねない。
そんなことを9月21日付の朝日新聞が書いていた。
CSに改善の余地あり!
僕はペナントレース後のCSそのものには反対ではない。優勝の望みが薄くなったチームがもっぱら「消化試合」でお茶を濁す――そんなこともCSのおかげで随分と減っているようだ。それはそれで結構なことである。
しかし、現行のようなCSはいかがなものであろうか。CSを続けるなら、改善の余地はいっぱいある。たとえば、パ・リーグの1位とセ・リーグの2位、セ・リーグの1位とパ・リーグの2位が戦って、勝者同士で日本一を決める。あるいは、チーム数を両リーグ8つずつに増やして、東西に分ける4リーグ制にし、CSはそれらの1位チーム同士で戦う。そんな案も考えられる。
とにかく、現行の方式でペナントレースの2位、3位から日本一になっても、ファンも選手も素直には喜べない。また、ペナントレース1位のチームがCSを制しても、ホッとするだけで、喜びを爆発させることなどできないはずだ。
誰もが心の底から喜べないようなCSは、早急にやめるか、改善するか、どちらかにしてほしいのである。(岩城元)