出版取次、書店経営の9割が売り上げ10億円未満 半数以上が「老舗」

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   出版取次業者や書店経営者などの出版関連事業者の2017年度の総売上高は、前年度と比べて4.3%減の2兆5906億3000万円となり、2年連続の減収となった。帝国データバンクが、12年度から17年度までの売上高が判明した出版関連業者2172社を調査した。18年9月21日の発表。

   このうち、出版取次は6.2%減の1兆3860億8900万円で、5年連続の減収。書店経営は2.1%減の1兆2045億4100万円で、15年度に一時増収となったものの、その後2年連続で減収となった。

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従業員「1~10人未満」の会社、全体の77.9%

出版取次・書店経営の総売上高の推移(帝国データバンク調べ)
出版取次・書店経営の総売上高の推移(帝国データバンク調べ)

   売り上げの規模別でみると、「1億円未満」の会社が1071社(構成比で49.3%)と、全体の約半数を占めた。

   このうち、出版取次の722社でみると、「1億~10億円未満」が375社(51.9%)。次いで「1億円未満」が266社(36.8%)となった。

   書店経営の1450社でみると、「1億円未満」が804社と全体の55.4%を占めた。「1億~10億円未満」が519社(35.8%)で、いずれの業種も売上高10億円未満の会社が全体の約9割を占めた。

   また、「業歴」が判明した2527社をみると、「50~100年未満」が1159社で、全体の45.9%を占めて最多。このうち、出版取次の859社では「50~100年未満」が415社(構成比48.3%)。書店経営の1668社でも「50~100年未満」が744社(44.6%)で最も多かった。「100年以上」も全体で251社、9.9%あった。新規参入する会社が少なく、歴史のある会社が多いことがわかる。

   「従業員数」が判明した2095社では、「1~10人未満」が1632社(構成比77.9%)で最多。出版取次、書店経営のそれぞれをみても、ともに75%以上の企業が「1~10人未満」と少数で運営している。

取次業者、出版社の「直接取引」の拡大に募る危機感

   さらに、出版取次や書店経営の2528社を「都道府県別」にみると、「東京都」が362社(構成比14.3%)でトップ。次いで「北海道」の130社(5.1%)、「大阪府」の118社(4.7%)と続く。出版取次、書店経営それぞれの業種で「東京都」が100社を超えた。

   出版不況と言われて久しいが、紙から電子書籍への移行が顕著になり、出版取次や書店経営は厳しい状況が続いている。加えて、出版社のKADOKAWA(東京都千代田区)が出版取次を介さない書店との直接取引を拡大させるなど、新しい取り組みを開始。大手出版社を中心にこの動きが広がれば、出版取次は大きな打撃を被る。

   一方、書店経営は大手を中心に無人レジの導入による人件費の削減や、文房具の販売やカフェの併設などの複合型店舗の導入で客足の増加を図り、かつ雑誌の販売・広告収入に頼らない、新しいスタイルの書店づくりに活路を拓こうとしている。

   なお調査は、帝国データバンクの企業概要ファイル「COSMOS2」(約147万社収録)から、2018年8月時点での出版取次業者と書店経営者の2528社を抽出。総売上高動向、企業実態などを分析した。

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