世界中を襲った「歴史的な猛暑」がようやく陰り始めた(2018年)9月。秋風の到来とともに、スポーツ界ではいくつもの「歴史的な」ドラマが繰り広げられました。
世界中を虜にした大坂なおみ選手の全米オープン初優勝から、男子プロゴルフツアー最終戦でのタイガー・ウッズ選手の大復活劇まで。偉業を「やってのけた」アスリートたちの「歴史的な名言」を、英語でどうぞ。
キーワードは「pride」です。
まさか、自分が「やってのける」とは......
まずは、男子ゴルフでの歴史的ドラマから。タイガー・ウッズ選手が米アトランタで行われた2017~18年シーズン最終戦で、5年ぶりの優勝を遂げて見事な復活劇を演じました。
ここ数年、腰の痛みに泣かされてきたタイガー・ウッズ選手。1年ほど前はベッドから一人で起き上がれないほど、症状が悪化していたそうです。それでも4度にも渡る腰の手術に耐えられた要因は、「もう一度、二人の子どもたちと一緒に遊びたい!」というモチベーションだったとか。再びゴルフをするなんて「夢のまた夢」だったというから驚きです。
そんなタイガー・ウッズ選手が、5年ぶりの勝利を収めたヒーローインタビューで発したひと言に、復活までの長い苦悩がしのばれました。
I just can't believe I pulled this of!
(まさか、自分がやってのけたとは信じられないよ!)
pull of:やってのける
「pull off」は、「難しいことを見事にやってのける」という意味の慣用句です。
誰よりも復活の難しさを知っていたのは、ウッズ選手自身だったのでしょう。ウッズ選手の想いがストレートに伝わってくる、胸に響く「名言」だと思いました。
そんなウッズ選手の復活劇を、男子ゴルフ界の「帝王」ジャック・二クラス氏は、こう讃えました。
I'm proud of him. He's worked very hard to get his golf game back.
(彼を誇りに思うよ。自分のゴルフを取り戻すために、とても努力をしてきたのだから)
be proud of~:~を誇りに思う
「自分を誇りに思う」なおみと「前に進みたい」セリーナ
全米オープン女子テニスシングルスで、日本人として初のグランド・スラム優勝に輝いた大坂なおみ選手。凱旋した東京で行われた東レ・パンパシフィック・オープンでは、惜しくもカロリナ・プリスコバ選手(チェコ)に決勝で敗れ、初優勝を逃しました。
それでも、全米オープン優勝直後から異例ともいえる「なおみフィーバー」が続くなか、休む間もなく次の戦いに挑んだ大坂選手は、自身の戦いぶりをこう評しました。
I've literally never felt more tired in my entire life.
(人生でこんなに疲れを感じたことはない)
I think I did pretty well. So if there is anything I can take from this it is that I am proud of myself.
(よくやったと自分では思う。もし、何か得るものがあったとしたら、自分のことを誇りに思えることだ)
一方、全米オープンの決勝で、大坂選手と対戦したセリーナ・ウイリアムズ選手は、審判と繰り広げたバトルがいまだに尾を引いている様子。セリーナ選手の言動をめぐる報道は収まる気配がありません。そんななか、渦中のセリーナ選手は現在の心境をこう語りました。
What I'm trying to do most of all is to recover from that and move on
(私が何よりもやるべきことは、この騒ぎを克服して前に進むことよ)
move on :前に進む
サッカー界でも「歴史的なできごと」がありました。
国際サッカー連盟(FIFA)の2017~18年シーズンの表彰式で、男子最優秀選手にワールドカップ(W杯)ロシア大会で準優勝したクロアチア代表のMFルカ・モドリッチ(33)選手が選ばれたのです。
この賞にポルトガル代表のC・ロナウド選手とアルゼンチン代表のメッシ選手以外が選ばれるのは、なんと11年ぶり!
サッカー界の歴史を塗り替えた、身長172センチの闘将のメッセージも、心に響くものでした。
I am thankful for their support in difficult and in better times
(苦しい時や厳しい時に支えてくれたサポーターたちに感謝する)
It is an amazing feeling. I feel so proud and honoured. It is a special night for me and a special moment in my career. It is a day to enjoy.
(受賞は驚くほどいい気持ちだ。とても誇りに思うし、光栄だ。私にとって特別な夜だし、これまでのキャリアで特別な瞬間だ。今日は心から楽しもう!)
苦難を乗り越えて「やってのけた」アスリートたち。そんな彼らの「歴史的偉業」を、多くの人たちがとても「誇らしく」思っていることは間違いありません。(井津川倫子)