会社で仕事をしていると「格好いいな。あの人のような仕事ぶりをしたいもの」と思える憧れの存在に出会うことがあります。いわゆる、「ロールモデル」です。
ロールモデルとは何かと言うと、具体的な行動やスキルを模倣、学習したいと思える対象のこと。「○○さんのようになりたい」という憧れは、誰しもが持った経験があるはずです。
若手ビジネスパーソンの約8割「尊敬できる先輩がいない」
大抵のビジネスパーソンは無意識のうちにロールモデルを選び、その影響を受けています。やはり、憧れの先輩がいたほうがモチベーションもあがるはず。ただし、営業の場合にロールモデルをみつけることが困難な場合があります。
「社内に尊敬できる先輩がいないんですよ。そんな会社では、自分が成長できないんじゃないかと思って」
と嘆く営業職の悩みをよく聞きます。
ちなみに、若手ビジネスパーソンの約8割が尊敬できる先輩がいないと回答しているようです(参考リンク:https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/43862)。営業職に限らず、ロールモデルを身近にすることは、特別天然記念物の遭遇するくらいに難しいと考えたほうがいいのかもしれません。
たとえば、医療商社に勤務している営業職のSさん。別の会社から転職して1年目。配属されたのは京都支社。ただし、その職場には上司と事務のアシスタントが1名だけの職場です。しかも、大学病院を訪問するため1週間のうちオフィスに出社するのは1日で、営業会議で売り上げの見込みを報告するためだけ。あとはクルマで京都市内の病院をグルグルと訪問する毎日でした。
「経営者とゆっくり話す時間もままならない状態です。社内でロールモデルをみつけることなんて無理ですね」
と断言しています。
確かに、この日々を過ごしていたら仕事上で格好いい先輩に出会うことはないかもしれません。このように、営業所に隔離されて、しかも同僚が少ない環境に置かれている営業も少なくありません。そんな状態だとしたら、どうしたらいいのでしょうか――。
ダメな先輩を反面教師にする作戦もあり!
ちなみにSさんのように隔離されていなくても、職場で格好いい、ロールモデルになる先輩を見出せないと悩む営業は少なくありません。
でも、そんなものです。筆者は野球が好きなので野球選手で近くにロールモデルを探すことにしたとしましょう。MLBで活躍中の大谷翔平選手のような、投げる・打つ・走る・守るのすべてに完璧なプレイヤーと一緒のチームになるのは劇的な偶然でしょう。だったら、変化球に対してしぶとい打撃をする●●選手。守備範囲が広くて的確な判断ができる▲▲選手に若手に対する面倒見がいい××選手のいいところをパーツで組み合わせて格好いい、理想の先輩をつくってしまえばいいのです。
あるいは部分的にも格好いいと思える先輩がいなければ、
「時間に遅れるルーズさ、気配りのできない、うちの先輩と反対の行動をとれば、いい営業になれるはず」
とダメな先輩を反面教師にして格好いいバーチャル先輩を想像してみましょう。
そのときに大事なことは先輩の「望ましくない行動」を思い出して「望ましい行動」に変換してみてください。
たとえば、このような感じです。
・平凡な提案しかできない → 驚くような提案ができる
・言われたことだけやる → 先回りした行動ができる
・約束をよく忘れる → 約束は絶対に忘れない
こうして、あなたにとって格好いい先輩=ロールモデルをつくり上げてください。大事なことは、ロールモデルとなる人がいるにせよ、いないにせよ、その格好いい先輩の行動を素直に真似るということです。
できれば、具体的に「私は明日から、先回りした行動を徹底します」と宣言してしまうと、いいかもしれません。
こうして格好いい先輩(バーチャルかもしれませんが)の真似を繰り返すと、成果に変化が出てきます。周囲の見る目も変わることでしょう。こうして、自らの行動を変えることで営業として大きな成長が得られるはずです。
勇気をもって試してみてください。(高城幸司)