ふだんからパートの採用は現場まかせ
一方、ハケンの場合は、派遣会社が雇用期間が3年を超えるハケンを「直接雇ってください」と派遣先企業にお願いする必要が出てくる。これが「3年ルール」。
とはいえ、直接雇用すれば人件費がアップするので、そう簡単に受け入れられない。パートやアルバイトに切り替えるなどの手を打つ必要が出てくるが、「人手不足の中で、パートの採用はいつも現場任せだ」(アパレルメーカーの工場長)と、不安を隠さない。
こうした混乱は飲食や小売りチェーンなどを中心に、非正規労働者の採用を本社(親会社)ではなく、地域にある店舗や職場ごとの裁量で雇っているところや専門の人事担当者を置けない中小企業などで多くみられる。改正法に対する、本社と現場に認識の差が埋まらないことや、本社人事部からの一方的な指導に現場(職場側)が戸惑い、混乱が生じているようなのだ。
社会保険労務士でジャーナリストの稲毛由佳さんは、会社が労働契約法の5年ルールと労働派遣法の3年ルールを混同していることが一番の原因という。
「パートを3年で雇い止めしたり、『5年ルールによる無期転換=正社員』と勘違いしたりしている会社が見られます。会社はまず、きちんとルールを把握する必要があります」 と指摘。その一方で非正規労働者には、
「パートやアルバイトの『5年ルール』回避のための雇い止めには、失業給付を会社都合で受け取ることができるようになりました。また、派遣社員の場合は企業から直接雇用を持ちかけられる人材になることが、『3年ルール』の最大の自衛策です。ハケンのうちから、直接雇用を希望していることを職場の人に知ってもらい、スキルアップのチャンスや直接雇用の推薦をしてもらえるような人間関係を築くことが重要です」
と、「防御策」を授ける。