小売りや外食チェーンなどの現場で、非正規労働者をめぐって大混乱が起きている。
原因は、非正規労働者を直接雇用するルールの適用が相次いで始まっているためだ。2018年4月から運用が始まった改正労働契約法の「5年ルール」と、10月1日からの改正労働派遣法の「3年ルール」がそれだ。
親会社に労働相談が殺到 雇用先の店長じゃあ埒あかぬ
ある百貨店では、親会社が置いた労働問題の相談部署に、パート社員からの問い合わせが相次いだ。
労働契約法の「5年ルール」の適用がこの4月からはじまり、さらに労働派遣法の「3年ルール」の適用が10月からはじまるからだ。
5年ルールは、雇用期間が5年に達したところで生じるので、契約した個人ごとに開始時期が異なるため、4月以降から徐々に希望者は直接雇用に転換していく。
この百貨店では、これまで4月と9月にパートやアルバイトを採用してきたため、9月末に切り替える人が少なくなかった。親会社の指示に、百貨店の人事担当者があわてて対応したことで、対象となったパート社員が混乱した。
事情はこうだ。その百貨店では、雇用形態が異なるパート社員がいた。それにもかかわらず、「パート社員」をひとまとめにして説明したため、自身の働き方がどう変わるか理解できず、また人事担当者に不明な点を質問しても答えられなかったということらしい。
現場の人事担当者は、「今まで丸投げだったものを突然9月末までに、ただヤレと言われてワケがわからない。『5年ルール』は4月からはじまっていて、順次対応してきた。『3年ルール』と混同して、勘違いしているのは本社のほうだ」と、怒りが収まらない。結局、この人事担当者は、担当をはずされ人事部から追われた。