値下げは消費を手控える若年対策にもってこい
一方、2017 年度の家計消費状況調査をベースに、携帯電話料金が4割安くなった場合の影響額を試算すると、家計の負担軽減額は約2.6兆円となる。
もうおわかりだろう。携帯料金を4割引き下げさせることで、消費税率2%の引き上げによる家計への負担額は相殺されることになるのだ。
しかも、比較的に所得水準が低く、消費意欲が低いが、携帯電話の利用率が高い若年層を中心に恩恵が得られることになる。携帯電話の利用率が低く、比較的に所得水準が高く、消費意欲も高い、中年から高齢者層への恩恵は薄い。
消費税引き上げの影響が、生活により響きやすく、消費を手控える傾向にある若年層への対応策として、携帯電話料金の引き下げはもってこいの手段になり得るのだ。
そう考えると、今回の菅官房長官の携帯電話料金4割の引き下げ発言は、安倍首相の自民党総裁選に対するものと考えるよりも、来年10月からの消費税引き上げに向けた対策と見るほうが、整合性がとれると思われる。
それにしても、携帯電話料金の引き下げと消費税引き上げを関連付けて、菅官房長官に携帯全話料金の4割引き下げを発言させたのだとすれば、かなり経済政策に精通したブレーンが安倍政権にはいるということになろう。(鷲尾香一)