学習塾や各種スクールなど、教育に関わる事業者の倒産件数が増えている。少子化に伴い、生徒の奪い合いが起きており小規模業者を中心に淘汰が進んでいる。大手~中堅の事業者による買収が活発化。「弱肉強食」の時代に突入している。
企業調査の帝国データバンク「2008年以降の教育関連業者の倒産動向」調査(18年9月10日発表)によると、18年は8月末時点で65件。前年1~8月期の57件を超えた。このペースで進むと、過去最多の100件前後になりそうだ。
小規模事業者はリーマンショック級の厳しさ
教育関連業者(学校法人を含む、学習塾、予備校、語学教室、資格取得スクールなど)の倒産件数は、2014年以降3年連続で増加している。特に2017年の84件は、リーマンショック後の2009年(93件)に次ぐ過去2番目の多さ。18年は8月末時点で65件となった。
業態別でみても、すでに「家庭教師、各種スクール」が25件、「学習塾」が24件、「予備校」9件(いずれも18年8月時点)と、通年で過去最多だった17年度を上回る見込みだ。
一方、負債規模別をみると、「1000万~5000万円未満」が59件となり、全体の90.8%を占めた。リーマンショック以降、7割前後で推移していた小規模事業者の倒産の急増が目立つ。
ただ、負債金額は19億2300万円で、過去10年で最少となりそう。負債額50億円を超える大型倒産は2010年の英会話スクールのジオス(負債62億5900万円)以来、発生していない。 大規模事業者は比較的経営が安定しているようだが、小規模事業者にとっては非常に過酷な実態が明らかになった。
教育関連業者の倒産が増えている背景には、少子化の影響にともなう生徒数の減少が考えられる。塾や家庭教師、各種スクールでは限られたパイの奪い合いによる競争の激化がある。
大規模~中堅事業者による事業買収が進み、倒産後にスポンサーとなって生徒数と従業員(教師やインストラクターなど)、商圏を引き継ぐケースが多くみられたという。スケールメリットを生かせる事業者に有利な状況が続くことで、今後はいっそう小規模事業者の苦境が予想される。