社長が怒りをぶちまけたら......
同じようなシーンをプロ野球でも見たことがあります。2016年のプロ野球日本一を決める日本シリーズ、広島対日本ハム戦。2勝2敗のタイで迎えた第5戦は同点のまま、9回裏日本ハムの攻撃は二死1、3塁。この緊迫の場面で投手の一投はなんとデッドボール。両軍グラウンドに入り乱れあわや乱闘かという騒ぎに。
この時、一人冷静だったのがネクストバッターの西川遥輝選手でした。怒る日ハムベンチに対して、帽子をとって詫びもせず対抗意識むき出しの相手投手。対照的に西川選手は、喧騒に背を向けて集中力を高めていたと言います。
結果は、冷静さを保った彼の満塁サヨナラ本塁打で決着。広島2連勝でスタートしたシリーズの流れは一変し、続く第6戦も日本ハムが勝利して日本一に輝きました。
重要な局面で冷静さが求められるのは、企業経営でも同じです。銀行時代の取引先だった機械部品メーカーB社のH社長。ある日突然、老舗企業からの大口安定受注を他社に奪われ取引解消となりました。「なぜうちが切られたのか、納得がいかない」と、冷静さを失い怒りをぶちまける営業部長の話を聞くうち、それに同調して興奮した社長はその場で受話器を取ると、電話でヤクザまがいの強硬なクレームを受注先の社長にぶつけてしまったのだそうです。