「法律を理由に雇い止めになりました」
そうしたなか、今秋以降、派遣社員の「雇い止め」が横行するのではないか、との懸念が高まっている。「非正規労働者の権利実現全国会議」は、2017年9月から、「派遣法改正から3年・あなたの『今』をお聞かせください」と、インターネットで無料相談を開始。8月31日、これまでに派遣社員などから受け付けたアンケート調査と相談内容の一部(18年8月までの実施分)を公表したほか、改正労働派遣法の見直しを求めて与野党に要請書を提出した。
要請書は、
(1)労働者派遣法の「事業所単位の派遣受け入れ期間3年の制限」を、延長を認めないよう、見直すこと。
(2)派遣期間の制限をなくす無期雇用派遣の場合、派遣会社の雇用責任を明記し、安易な解雇には解雇権濫用の法理が適用されることを徹底するよう、その旨を明記して脱法的な規則の制定がないよう指導すること。
(3)人単位での労働者派遣の受け入れ期間の制限を撤廃し、業務内容にかかわらず同一部署における派遣受け入れ期間の制限を3年とするよう、見直すこと。
(4)直接雇用申込みみなし制度(労働派遣法40条の6)規定については、派遣会社の「但し違法行為について善意かつ善意であることについて過失がない場合は適用しない」との規定を削除し、違法行為がある場合には過失がなくても申込みみなし制度が適用されるよう、見直すこと。
(5)直接雇用申し込み見なし制度(労働派遣法40条の6、5項)に規定する労働者派遣契約によらない労働者派遣(いわゆる偽装請負)における申込みみなし規定について「法の適用を免れる目的」との要件をなくすよう、見直すこと。
などが趣旨。
一方、派遣切りの相談は7月ごろから増えているという。たとえば、
「同じ派遣会社から同じ派遣先へ4年と少し働いたところで法律を理由に雇い止めになりました」
「派遣会社が直接雇用を打診してくれましたが先方に難色を示されて、ほぼ派遣切りにあいます」
「派遣先が3年目を迎える派遣社員を、一斉にぐるっと部署異動させて、抵触日(派遣先企業が派遣スタッフを受け入れられる期間を最長で3年と定め、その期間を過ぎる最初の日をいう)をリセットしようとしています。こんな方法がまかり通るのでしょうか」
と、こんな具合だ。
派遣先で雇い止めを受けたといった深刻な相談のほか、派遣元から求められる高額の紹介料が障壁となって直接雇用が頓挫したなどの内容を紹介し、問題点を指摘している。