2017年の都道府県別の社長「輩出率」は、徳島県が1.40%(前年1.36%)でトップだった。東京商工リサーチが18年9月10日に発表した。首位は4年連続。香川県が1.18%の3位、愛媛県が1.05%5位と、四国勢の強さが光る=別表参照。
2位は山形県の1.28%、4位は秋田県の1.17%。ただ同社は、いずれの県も総務省「人口推計」で、人口減少率が全国平均の0.17%減を上回っており、人口動態の影響もみられるとしている。
輩出率、人口減少が影響か? 埼玉、千葉、神奈川はワースト3
社長「輩出率」トップの徳島県は、堅実・実利を尊ぶ県民性のほか、ブロードバンド環境の整備を進め、先端産業・ベンチャー企業集積を目指している。
人口は73万7226人(2018年8月1日時点推計)。19年連続で減少し、戦後初めて75万人を割り込んだ前年から、さらに減少が続いている。関西圏に近く、住民の転出数が転入数を上回り、人口動態が社長「輩出率」トップに影響している可能性もある、としている。
2位の山形県は、辛抱強くて、堅実な県民性に加えて、江戸時代から商工業が活発な土地柄で、絹織物の「米沢織」や「山形鋳物」など伝統工芸品が数多くある。
その一方で、輩出率が低いのは、最下位が埼玉県の0.26%。46位に千葉県の0.28%、45位が神奈川県の0.33%と、首都圏のベッドタウンが続く。徳島県や山形県、香川県などの上位県とは対照的に、3県とも人口が増加しており、輩出率を相対的に下げている。
また、社長の出身地を都道府県別でみると、最多は東京都。次いで北海道、大阪府、愛知県、神奈川県、福岡県、広島県と、大都市や中核都市が続く。
一方、最も少なかったのは鳥取県。次いで滋賀県、佐賀県、島根県と続いた。トップの東京都と最少の鳥取県は、ともに8年連続だった。
社長の「地元率」 沖縄県が8年連続トップ
地元出身者が地元企業の社長を務める、社長「地元率」は、沖縄県が92.9%(前年94.1%)で8年連続トップとなった。離島の地理的条件のほか、産業構造が公共投資や観光、基地の「3K」に依存。かねて「製造業の不毛の地」ともいわれてきた。他県からの企業進出が少なく、雇用の受け皿も不足するなか、近年は観光関連を中心に好調な景気を背景に、開業率が高いという。
沖縄県に次いで、愛知県の89.5%、北海道87.9%、広島県87.1%と続く。愛知県や広島県は地域の中核都市と同時に、自動車産業など基幹産業の取引先や関連企業などですそ野が広く、下請け企業なども先代の跡を継いだ同族社長が多い。
その一方で、「地元率」が最も低かったのは鹿児島県の63.8%。次いで奈良県の66.7%、長崎県67.7%、兵庫県68.4%と続く。全国平均は79.7%で、21道府県で平均を上回った。
東京商工リサーチは、政府は「地方創生」を主要政策に掲げるが、少子化と高齢化の同時進行で人口減少が止まらない地域が多い。地方と大都市の経済格差は、縮まるまでに至っていない、としている。
なお調査は、今回が8回目。東京商工リサーチの企業データベース約480万社(個人企業を含む)から、公開された出身地を抽出(複数企業で社長を務めている場合、売上高の大きい企業を優先した。対象外企業は22万1819社)して集計した。都道府県別の社長数は人口に左右されるため、都道府県別の出身社長数と人口(総務省「人口推計」2017年10月1日現在)を対比。社長「輩出率」を算出した。