今年(2018年)の夏は本当に暑かったですね。連日のように「気温40度」のニュースを聞くと、34度ぐらいでも「あ~、今日は涼しい」と感じてしまいます。慣れは恐ろしいものですね。
当然ながら、エアコンも24時間つけっぱなしでした。ところで、読者の皆様は、エアコンの設定温度は何度ぐらいにしていますか?
「温度を上げて」と言えず、体調不良
環境省によると、エアコンの設定温度は地球温暖化対策のため、2005(平成17)年から冷房時の室温は28度にして快適に過ごせる軽装を推奨しています。
しかし、暑がりの私にとって28度は快適とはいえませんし、服装で調整といわれてもオフィスでは服を脱ぐにも限界があります。ある情報番組では、28度の設定は集中力が途切れ、仕事の生産性が落ちるのでもう少し下げてもいいのではとの見解がありました。
さて、「エアハラ」という言葉をご存知でしょうか?
「エアハラスメント」の略で、主にエアコンの温度設定に対してのハラスメントを指しています。
たとえば、暑がりの私がオフィス内を24度に設定にして仕事をしていると、寒がりのスタッフが毛布を体に巻き付けて事務作業をしている。スタッフは「もう少し温度を上げてください」と言いたいけど言い出せません。
それは私が上司であること、あるいは営業担当者が外出先から戻ったばかりで涼んでいるから、といった立場や状況の違いで「自分が我慢すればいいのだから」と、言わずにいたためです。そのため、室内で事務作業をしているスタッフは冷えが原因で体調不良が続いた。
「エアハラ」とは、こんな状況のことです。
空調管理は経営者の「工夫」で改善できる
これは私があるサービス付き高齢者向け住宅へ行ったときの話ですが、玄関へ入った瞬間に、モワッとした熱気で眩暈がしました。ラウンジでは涼し気な表情で談笑する入居者の方々がいます。
反対に、職員の方々は全員が首にタオルを巻いて、大汗を垂らしながら働いています。エアコンをつけると入居者の方が「寒い」「体に悪い」「電気代がもったいない」と言ってすぐにスイッチを切ってしまうのだそうです。 職員さん曰く、
「入居者はお客様ですから強くも言えないし、でも入居者も私達も熱中症になると困るし、結局エアコンをつけたり消したりの繰り返しなんです」
と、嘆かれていました。
訪問者である私も、あまりの暑さに早く帰りたくなりました。そして、このような環境の中で仕事をしている職員の皆さんの体は大丈夫なのかと心配になりました。熱中症で入居者や職員が倒れたら運営責任はどうなるのでしょう。
セントラル空調やエリア切り替え機能付きタイプの採用、個別のエアコンならラウンジ内のソファ位置の変更など工夫の余地はあるはず。これらは経営者や管理者が職員の声を拾い、配慮すべき事柄だと思います。体感温度は人それぞれです。健康に直結している問題ほど迅速な対応が求められます。
ちなみに、弊社は「部屋とビールはキンキンが一番!」の暑がり揃いなので、お客様が来る時は慌てて温度を上げていました。
来年の夏はもう少し涼しいといいですね。(篠原あかね)