40代半ばになる家内の甥Kくんが、転職を考えていると私のところにはじめて相談に来たのは3年半ほど前のことです。
その折に転職希望の理由を聞くと、
「今の会社の殊遇に不満がある」
「都内の嫁さんの実家の敷地内に引越しをする予定があり、勤務地をその近くに移したい」
「待望の子供が生まれて、学校にあがるまでにある程度名の通った企業に勤務したい」
など、どれも40代半ばの転職に納得性を持たせるには貧弱なものばかりでした。
後戻りできない40代の転職
「やりたいことは何?」という質問を投げかけてみると、「うーん。特に思いつかない...... ですねぇ」と、これといってやりたいことがあってその方向に進みたい、という意志は感じられなかったのです。
若い頃の転職なら後先考えずとも何事も経験と捉えることも可能ですが、40代ともなれば話は別です。
「40代の転職は難しい。転職してしまってから自分に合わない仕事だと気がついても後戻りはできないし、仮にその先に次を探すのだって至難の業。自分がやりたいことがやれるなら、多少のことは我慢もできる。その意味では、まずは自分のやりたいことが何なのか、よく考えたほうがいい」
とアドバイスしました。
世界規模の世論調査機関として知られる米国のギャラップ社は、働く人たちの幸福度に関する調査を50年にわたって世界150か国で継続的に行っています。
それによれば、人の幸福度に最も大きな影響を及ぼしているのは報酬や勤務先企業の知名度ではなく「仕事に情熱をもって取り組んでいるかどうか」だそうで、「仕事の幸福度が高いと人生の幸福度が2倍になる」との衝撃的なレポートがなされています。
じつは仕事選びは、日々の生活やその人の人生の満足度において、とても重要なことであるとわかります。