陸上界を引退した男子短距離王のウサイン・ボルト氏が、サッカー豪Aリーグのセントラルコースト・マリナーズでサッカー選手として念願のデビューを飾りました。
かねてからプロのサッカー選手になる「夢」を公言してきたボルト氏。本格的なシーズンインを前に、早くももう一人の「スーパースター」との対戦が話題になっています。
背番号「95」ほろ苦デビューにも超ポジティブ発言
オリンピックで8個の金メダルを獲得した陸上界のスーパースターは、「陸上競技を引退したらプロのサッカー選手になりたい」と、これまでにドイツや南アフリカのサッカークラブでトレーニングを積んできました。
今回、地元アマチュアチームとの練習試合に後半途中から出場したボルト氏。100メートルの世界記録「9秒58」にちなんだ背番号「95」番を目当てに、会場にはシーズン前としては異例の1万人のファンが詰めかけたといいます。
ですが、肝心のプレーはというと、快足で場内を沸かせる場面はあったものの、好機でボールを失ったこともあり、残念ながら「いまひとつ」といった評価。それでも、さすがに世界を制した男は次元が違います。かねてから、「超ポジティブ」発言を連発していました。試合前のインタビューでは、
I always say that 'anything is possible, don't think limits' and I look forward to the challenge.
(僕はいつも、「何事も可能だ。限界をつくるな」と言っている。挑戦することを心待ちにしている)
・look forward to~:~を楽しみにしている
さらに試合後にはツイッターで、こうつぶやきました。
I can never be a failure!!!
(僕は絶対に失敗しない!)
じつは試合前のインタビューでは、「プロのサッカー選手になるためにはもっとトレーニングが必要だし、失敗もするだろうとわかっている」と述べていました。それでも「絶対に失敗しない」と宣言したのは、「成功するまで全力で努力をする」という強い意志の表れでしょう。
チャンピオンになってもさらに新しいゴールに向けて努力するボルト氏。「有言実行」で知られるスーパースターの挑戦を、世界中が見守っています。
「対戦できるのは光栄」本田とボルトの意外な共通点?
ボルト氏に負けず劣らずの「有言実行」ぶりで知られるのは、サッカーの本田圭佑選手でしょう。期せずしてボルト氏と同じ豪Aリーグのメルボルン・ヴィクトリーに加入した本田選手は、ボルト氏との「サッカー対決」について記者団に問われ、こう答えました。
It would be awesome if I can play against him.
(もし、彼と対戦できたら最高だ)
・awesome:すばらしい、最高だ
報道によると、二人が対戦する可能性があるのは、一番早くて11月の試合だとか。ぜひ、実現してほしいものです。
ところで、このボルト氏と本田選手。調べてみたら、いくつか共通点がありました。
まず、二人とも1986年生まれの同級生ということ!
6月生まれの本田選手が約2か月「お兄さん」になりますが、まだまだ32歳と若い二人。人生100歳時代ですから、この先、第二、第三の人生に挑戦してほしいものです。
さらに、ボルト氏のプロサッカー挑戦と同様、本田選手もカンボジアのサッカー代表チームのゼネラルマネジャーに就任して、サッカー選手との「二足のわらじ」に挑戦しています。新たな挑戦に向けた二人の発言に、モチベーションの源泉が垣間見えます。
ボルト氏は、
I hope I can make a positive contribution to the club
(クラブにとって、プラスの貢献ができることを望んでいる)
と言います。
本田選手は、
I want to contribute all my experience to the Cambodian national team
(これまでのすべての経験を、カンボジア代表チームのために役立てたい)
と述べています。
意外にも、ボルト氏と本田選手に共通するのは、チームに「貢献したい」「役に立ちたい」という気持ちでした。
「オレオレ」風の目立ちたがり屋だと誤解されがちな二人ですが、じつは「いい仕事をしたい」「役に立ちたい」という気持ちがモチベーションになっているのですね。
さて、ここで「今週のニュースな英語」です。「make a contribution to ~」(~に貢献する)という慣用句を使った言い回しを学びましょう。
You made a contribution to the company
(あなたは会社に貢献してくれた)
Our challenge will make a contribution to the next generation
(私たちの挑戦は、次世代に貢献するでしょう)
形容詞の「significant」(多大な)を加えると、貢献度が強くなります。
You made a significant contribution to the company
(あなたは会社に多大なる貢献をしてくれた)
逆に「tiny」(わずかな)という形容詞を加えると、貢献度が薄まります。
Our challenge will make a tiny contribution to the next generation
(私たちの挑戦は、次世代にわずかに貢献するでしょう)
南半球の豪州で活躍する二人の挑戦者たち。10月のAリーグ開幕に向けて、熱い「貢献」を期待したいものです。(井津川倫子)