【連載】事業承継のサプリメント(その2)こんなことをやっていると「争続」に!!(湊信明)

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父親の「意思無能力」が証明されると会社は返還義務を負う

   長男が引き継いだ会社は、父親から承諾を得て、会社に対して、10年間の合計で5000万円の贈与をしてもらったと主張しています。

   しかし、この父親は次第に認知症が進行して、最後は「意思無能力」になっています。意思無能力者による法律行為は無効ですから、父親が意思無能力者となった以降の贈与契約は無効ということになります。この父親がいくら会社のことを一番心配していたとしても、贈与契約時に意思能力が認められなければ、その法律行為は無効となってしまうのです。

   実際の紛争の場面では、介護施設などの介護記録や入院時のカルテ、看護記録などから、どの時点から意思無能力になったのかが争われることになります。その立証は必ずしも容易ではありませんが、この立証に成功すると、会社はその金額の返還義務を負うことになります。

   ここでは仮に、最後の5年間が意思無能力であったことが証明され、その間に贈与された金額が合計2000万円であったとすると、この2000万円の贈与契約が無効ということになり、父親は亡くなる前に、会社に対して合計2000万円の不当利得返還請求権を有していたと評価されることになります。

   そして、この2000万円の不当利得返還請求権を長男と次男が2分の1ずつ相続することになりますから、次男は会社に対してその2分の1の1000万円を請求できることになるわけです(長男も同額の請求権を会社に対して取得します)。

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