「傲慢」「ずさん」...... 新聞社説が総スカン! サマータイムが嫌われすぎ

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   夏に時計の針を1~2時間進める「サマータイム(夏時間)」の導入論が急浮上している。

   2020年東京五輪パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が2018年8月7日、屋外競技の猛暑対策などを理由に安倍晋三首相に導入を求め、首相が「内閣としても考える」と自民党に検討を指示したからだ。

   ところが、働き方改革や原発再稼働などの問題では賛否が割れる大手新聞が、ことサマータイムに関しては、社説でそろって反対の論陣を張っている。なぜ反対するのか、どこに問題があるのか、大手各紙の社説を読むと――。

  • 殺人的な暑さが心配な2年後の東京五輪
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五輪という「錦の御旗」でゴリ押しする気か!

   新聞各紙の社説がまず問題にするのは、サマータイム制度が突然浮上した経緯だ。東京(中日)新聞は8月21日付の「サマータイム 『五輪のため』という傲慢」で、こう指摘する。

「今回の要請はいかにも唐突だ。大会まで2年に迫ったタイミングである。(大会組織委の森喜朗会長が)今夏の猛烈な暑さに驚き、慌てて思い付いたかの印象だ。『五輪のため、国家の一大事業のため国民は受け入れるべきだ』といった傲慢さえ感じてしまう」

   朝日新聞は、

「五輪を掲げれば、無理な話も通ると思っているのだろうか。号令一下で人々を動かそうとするかのような発想は、あってはならない。『錦の御旗』を振り回して日常生活への影響を当然視する姿勢に陥れば、『レガシー』(遺産)にも傷がつく」(8月12日付)

と主張する。

   そして、五輪の暑さ対策を理由にするのなら、的外れだと各紙は批判する。

「自民党内では、五輪に間に合わせるため、2019年から試験実施する案も出ているが、拙速ではないか。五輪対策であれば、競技時間の変更で事は足りよう」(読売新聞、8月19日付)
「東京五輪での暑さ対策が狙いなら、競技の時間を変えればいい話だ。あまりにずさんな提案に驚くしかない」(朝日新聞、8月12日付)

   そもそもサマータイム制度の導入は、マラソンや競歩など長時間、屋外で行われる競技への対策として考えられている。これらは早朝にスタートするが、夏時間だと現在よりさらに早くなり、涼しい時間帯に競技が進むからだ。

   しかし、そうすると、別の問題が生じてくると各紙が指摘する。

「一方、夕方以降の競技は、逆に暑さが厳しい時間帯になる。たとえば夏時間で午後6時に始まる競技は、現在の午後5時開始という具合にだ。競技日程には、巨額の放映権料を支払っている米国メディアの意向が反映されている。夏時間を導入すれば、当初の日程とずれが生じる。米国との調整は図れるのか。大会運営全体を考えての提案なのか疑問が拭えない」(毎日新聞、8月10日付)
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