イエスマンの蔓延が組織をつぶす
その意味からは、スルガ銀行はオーナー会長が退いただけでは、長年染み付いた組織風土が変えられるとは到底思えません。
オーナー家が株主として存在し続けるなら、後継トップの指名などに影響力を持ち続けることも可能です。オーナー家を株主からも排除し、経営に関わる一切のフィールドから排除しなければ、組織内で長年絶対的権力者に頼り切ったイエスマンたちが自立できるとは思えないからです。
そんなことを思うと、スルガ銀行の問題は、根本的な解決までにまだまだ先が長そうな感じがしています。
ところで中小企業のオーナー経営者は、この事案から何を学ぶべきなのでしょうか。先も申し上げたように、非上場の私的企業であれば、コンプライアンス上で問題ない範囲でのオーナーの独裁経営は問題視されるようなことではありません。しかし、独裁経営下ではイエスマンが増えるということは上場、非上場問わず同じであり、経営者自身の組織内での存在感が強ければ強いほど、その発言や意向が盲目的に組織内で受けられるリスクがあるということは、認識をしないといけない部分でしょう。
自身の周りにイエスマンが多いと感じられる経営者は、スルガ、東日本の二つの銀行に見るような組織運営上のリスクを認識して、まずは組織内で意見することが褒められ、黙っている者は評価されないという風土をつくるよう自らが動くことが肝要かと思います。
イエスマンの蔓延が組織をつぶすのは、企業の大小にかかわらないという認識を持つことが何より大切です。(大関暁夫)