サブリース問題と仮想通貨下落で逆風が......
だが最近、合同会社に逆風が吹き始めた。シェアハウスのサブリース問題で銀行の不動産融資は厳しくなっている。また、仮想通貨も不正アクセスによる流出事件を契機に、交換業者への業務改善命令が相次ぎ、相場は乱高下を繰り返している。このため、今後は個人の不動産・仮想通貨への投資意欲が減退し、合同会社の新設数に陰りが出そうだ。
合同会社は他の法人格にはない、手続きが簡便で安く設立でき、経営の意思決定が迅速というメリットがある。さらにそれに加え、合同会社のモデルとなった米国の「LLC」には大きな節税効果のメリットがあった。法人税がなく、出資者の所得税のみが課税される「パススルー課税」だ。日本では見送られたが、開業率アップのために制度の導入を求める声が政府部内にもあるという。
東京商工リサーチでは、「パススルー課税は検討課題かもしれないが、税金対策での乱立は本末転倒だろう。合同会社のメリットが浸透すれば、節税効果に依存せず、資金力が乏しくても創業支援の後押しを受け、新規立ち上げに活用される可能性が残っている。今後、合同会社はすそ野を広げ、地域経済の活性化への貢献が求められている」としている。