データイノベーション時代はこう生きろ! 「自分データ」の活用でよりパワフルになれる

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個人データを提供すると自分も儲かる時代に

   もう一つ注目されているのは教育の分野だ。2020年度から大学入試の制度が変わる。受験生は出願する際、高校3年間の課外活動などのデータを大学に提出しなくてはならなくなる。大学は入試の成績と課外活動などのデータを総合的に判断して合否を決める。また、政府が推進する超スマート社会「Society5.0」を実現するためにも、多種多様かつ大量のデータを活用していく必要がある。

   小中高校・大学、さらに就職してからも各個人が学習記録などのデータを管理し、それを生涯学習やキャリア形成に役立てようという構想を文部科学省が打ち出している。

   こうなると、個人データを簡単かつ安全に管理するシステムが必要になってくる。そこで、橋田さんは自らが開発した新システム「PLR」(Personal Life Repository=個人生活録)を紹介した=図1参照

図1:個人データの集中管理と分散管理のイメージ図(総務省・2016年版情報通信白書「パーソナルデータ分散管理」から)
図1:個人データの集中管理と分散管理のイメージ図(総務省・2016年版情報通信白書「パーソナルデータ分散管理」から)

   これは、個人が本人のデータをスマートフォンなどによって管理するもので、クラウド上にデータを暗号化して保管し、必要に応じて自らの意思で特定の相手とデータを共有する。個人データを集約する仲介事業者が不要になり、情報の管理を個人に分散する仕組みだ。

「従来の集中的に管理するシステムでは、管理事業者の専用サーバーが必要になり、コストがかかる。また、管理事業者に個人データが集約されるため、その全データが漏れたり、悪用されたりする心配があります。PLRではデータが暗号化されているため、本人の同意なしに個人情報にアクセスすることが技術的に不可能だし、専用サーバーが不要なので非常に安上がりです」(橋田さん)

   情報漏えいの被害の防止とその対策にかかるコストの増大、また競合する管理事業者の間でのデータの授受が難しい問題を一石三鳥で解決する。PLRを使うと、たとえば日常の生活行動や服薬の状況をPLRアプリに記録しておき、医療機関を受診する際に医師と情報を共有して、適切な診断や治療にも利用できる=図2参照。個人データの集積と活用が自分の健康に役立つわけだ。

図2:PLRアプリによる医療機関と介護施設の連携イメージ(総務省:2016年版情報通信白書「パーソナルデータ分散管理」から)
図2:PLRアプリによる医療機関と介護施設の連携イメージ(総務省:2016年版情報通信白書「パーソナルデータ分散管理」から)
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