肝心なのは「整えられた」組織運営 社長の独断経営では株式上場はムリ!(大関暁夫)

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業績を取り繕っても上場はできない

   企業のガバナンス強化が問われる昨今においては、上場すれば社長一人に決定権限が集中するやり方では株主の理解を得にくくなるでしょうし、後継者育成の観点からも権限移譲や合議制への移行という流れは取り入れざるを得ないという状況に直面するのは想像に難くないところです。

   C社の株主である大手企業からの役員が「独断先行型から合議制に移行せよ」と言っているのは、そんな意味合いがあるのだと考えられます。

   「ベンチャー経営者の多くは、独創的な技術やビジネスモデルで、業績さえ順調に上がりさえすれば、いつでも上場できるぐらいに思いがちです。ところが15年ほど前のITバブル時代に上場基準を下げたがために、安易に上場したベンチャー企業がガバナンス上で問題を起こし投資家に迷惑をかけるケースも多く出て大変問題になりました。

   上場というのは、地縁、人縁のない人たちから出資を受けて企業経営をすることですから、第三者からの信頼に耐えうる、整えられた組織運営が求められるのです。業績がいい、将来性がある、だけではダメなのです。

上場を考えて前に進むのなら、将来を見据えた組織の強化にもあきらめすに取り組むしかないのです。社員を意思決定のプロセスに上手に組み込むことは、組織の活力向上にもなりますから、Nさんをぜひ味方にして前に進めてください」

   私の話に社長の表情は複雑でしたが、至ってまじめな方なので恐らく前向きに取り組んでくれることでしょう。Nさんには、大企業勤務経験を活かした社長のアドバイザイリー役をと、お願いしておこうと思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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