肝心なのは「整えられた」組織運営 社長の独断経営では株式上場はムリ!(大関暁夫)

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社長独断から合議制への移行

   C社が上場に向けて、組織運営についてもさまざまな改善努力をしているということを、これまで何度となく同社の社長から聞いていただけに、Nさんの転職後1か月半での第一印象はちょっと意外でした。そこで、この話を社長に直接ぶつけてみることにしました。

   「それは耳が痛いです。じつは上場に向けて組織整備をしていく中で、組織の意思決定を社長の独断先行型から合議制に移行していくべきと、役員を受け入れている株主の大手企業から言われまして。

意思決定会議やら決裁権限やらをしっかりさせるなど、昨年あたりから徐々に変えてきてはいますが、なかなかうまく機能しないというのが実感です。いきなりこれまでの、社長集約型の意思決定のやり方を変えるのは難しいです。私がこの改革に取り組んでいて思うのは、正直この体制づくりが本当に必要なのか、経営者さえしっかりしていればいいのじゃないか、ということですね。

大企業にいたNさんが現状に違和感を覚えたのであるなら、むしろ前のやり方に戻したほうがいいかと思いますね」

   意思決定に多くの社員の考えを反映させるというのは、組織運営に多様性を持たせるとともに、意思決定を社長に集中させることのリスクを分散させるという観点からも必要とされることです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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