愛車に取り付けることで映像と音声を記録し、事故の際に確かな証拠能力を発揮するドライブレコーダー(ドラレコ)。あおり運転など危険な行為が問題になっている現在、品切れ店が続出するほどの超人気カー用品だ。
ところが、事故の際に肝心の映像が残っていなかったというトラブルが急増している。国民生活センターは2018年8月2日、各社のドラレコの商品テストを行なった結果を発表し、「映像の記録が残らない場合があるため、定期的にSDカード(メモリーカード)を確認しよう」と注意を呼びかけた。
警察から映像提供を求められたら、真っ白だった
自動車のフロントガラスなどに取り付け、運転時の映像や音声を録画する「ドラレコ」。事故やトラブルの後の処理に役立つばかりか、運転技術の向上にも活用できるため、全国のタクシーや自動車教習所などで導入されている。
最近は、前方・後方を同時に記録できる2カメラ方式のものや、走行状況を記録するだけでなく、映像をSNSに投稿したり、取り外して車外でアクションカメラとして使えたりするものなど、さまざまなタイプが登場している。
国民生活センターによると、ドラレコの出荷台数は、2016年は約140万台だったが、2017年には約260万台と、わずか1年で約2倍に伸びている。その一方で、全国の消費生活センターに寄せられたトラブルの相談数は、2013年以降2018年5月までに444件に達している。
ドラレコの多くは、エンジン始動から停止までの映像を自動でSDカードに記録し続けて、SDカードの容量がいっぱいになると古いファイルから順に上書きされていく仕組み。相談件数で一番多いのが、SDカードに映像が残っていなかったことで、年々増加する傾向にある。
たとえば、こんな事例だ。
【事例1】
当て逃げ事故に遭い、警察からドラレコの映像提供を求められたが、5か月前から作動しておらず、事故当時の映像が録画されていなかった。(埼玉県、40代男性)
【事例2】
ドラレコが作動していると思い、普通に運転を続けていた。交通事故に遭い、事故の様子を確認しようとしたら、何のデータもデータが残っていなかった。(熊本県、40代女性)
【事例3】
10か月前にドラレコを購入。その後、事故に遭い、映像を確認しようとしたら、取り付け後2週間分の映像しか残っていなかった。(福岡県、50代女性)
【事例4】
特に事故に遭ったわけではないが、ドラレコの記録を確認しようと、SDカードをパソコンで再生すると、まったく録画されていなかった。(北海道、40代男性)
などと、いずれもSDカードに記録が残っていなかった。