仰天! 40代女性は20代男性より「のん兵衛」だった その意外なワケは?

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   近年、健康志向の高まりによって男性のアルコール類を飲む量が減っているが、40代以上の女性では逆に増えている。その結果、なんと20代の若い男性より、40代~50代の女性のほうが「呑兵衛」(のんべえ)であることがわかった。ニッセイ基礎研究所が2018年7月31日に発表した。

   いくら最近の若者が「草食男子」になったとはいえ、お姉サマたちに飲みっぷりで負けていいのだろうか。レポートをまとめた研究員に聞くと、意外な答えが......。

  • 40代女性はお酒が強い?(写真はイメージ)
    40代女性はお酒が強い?(写真はイメージ)
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男性は「アルコール離れ」、40代以上の女性は「酒好き」に

   リポートは、ニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我尚子さんがまとめた「縮小するアルコール市場、その活路は?」。国税庁の酒類消費量のデータや、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」、総務省「家計調査」などの統計をもとに分析した。

   それによると、日本のアルコール市場は1996年をピークに縮小傾向にある=図1参照。また、飲む酒類の中身も変わってきた。飲み屋に入れば、「とりあえずビール」と言って、おしぼりで顔を拭くのが一般的だったのは1990年代半ばまで。当時は、ビールが全体の7割を占め、2位の清酒と合わせると全体の8割を超えていたが、90年代後半からはビールや日本酒が減少する一方、発泡酒やリキュール、そのほかの醸造酒などが増え、多様化している。

酒類消費数量の推移(国税庁「酒のしおり」より作成)
酒類消費数量の推移(国税庁「酒のしおり」より作成)

   いったいどうしてアルコール消費量が減っているのか――。その原因としてリポートが指摘しているのは、少子高齢化の影響だ。

   日本の人口は2010年をピークに減少傾向に入ったが、その前の段階からお酒をよく飲む現役世代の割合が減り、その分、飲酒量が大幅に減る60代以上の割合が増えている。

   飲酒する日に2合以上飲む人の割合は、男性の50代までは4割を超えるが、60代では3割以下に下がる。総人口に占める60代以上の割合は、1996年では21.3%だったが、2016年では34.0%(12.7%増)に増えているから、その分、飲む酒の量全体が減るわけだ。

   そのうえ、男女別の「飲酒習慣率」を見ると、男性は全世代で飲む量が少なくなっている=図2参照。飲酒習慣率とは、「週に3回以上飲酒し、その日は1日あたり清酒換算で1合以上を飲む」習慣のある人の割合だ。

   その飲酒習慣率が、20代男性では、1996年の36.2%から2016年には10.9%に激減している。なんと3分の1以下だ。飲み盛りの40代でも63.3%から37.9%へ、50代でも62.2%から46.1%に減っている。

   なぜ、男性は「アルコール離れ」をしているのだろうか。リポートでは「健康志向の高まりや、長く続いた景気低迷の影響を受け、会合の機会が減ったことがあげられる。2008年から40代以上で、いわゆるメタボ検診が始まり、体重増加を気にしてアルコール摂取を控えようとする男性が増えた可能性がある」と分析している。

飲酒習慣率の変化(1996年と2016年)(厚生労働省「国民健康・栄養調査」より作成)
飲酒習慣率の変化(1996年と2016年)(厚生労働省「国民健康・栄養調査」より作成)

女性向けカクテル、立ち飲みバーが充実

   おもしろいのは、女性では男性とは逆に「飲酒習慣率」が高まっている年代があることだ=図2参照。20代~30代では男性同様に低下しているが、40代以上はすべての年代で増えている。特に40代では9.9%から15.6%へと1.6倍増、50代も8.4%から12.4%へと1.6倍増、なんと60代では5.3%から9.9%へと約2倍増のありさまだ。

   この結果、40代女性の飲酒習慣率は20代男性より、4.7ポイント上回っている。

   これはいったいどうしたことか。リポートでは「40代以上の女性で飲酒習慣率が高まっている背景には、女性の社会進出とともに、女性が好むようなチューハイやカクテルなどの商品が充実してきたこと、また、都市部では仕事帰りに女性たちが立ち寄りやすい立ち飲みバーなども増えて、女性がアルコールを楽しみやすい場が充実してきたことがあげられる」と説明しているのだが――。

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、調査をまとめた久我尚子さんに、さらに詳しく聞いた。

   ――40代以上の女性がよくお酒を飲むようになった背景に、「女性の社会進出」「女性が好むカクテルの充実」などをあげていますが、これらの理由は20~30代女性にも当てはまるのではないでしょうか?
   彼女たちは、「女子会」も盛んに行っており、40代女性とは逆にお酒を飲まなくなったのは不思議です。

久我尚子さん「確かに当てはまりますが、若い女性では、男性と同様に「アルコール離れ」をしています。彼女たちは、様々な領域において情報通のデジタルネイティブ世代です。健康意識が高まっていることに加え、娯楽も多様化しており、飲む楽しみの相対的な価値が下がっているのかもしれません。夜に飲みに行く代わりに、カフェで「夜お茶」をしたりすることもあると聞きますので、女子会で集まっても、必ずしもアルコールを飲むわけではないようです」

   ――なるほど。しかし、40代以上の女性は健康面での不安が20代~30代により増えてくるはずです。それなのに、男性の40代以上が健康志向によって飲酒を控える傾向があるのに、逆であることが理解に苦しみます。

久我さん「女性では40代以上で飲酒習慣率が比較的高いものの、同年代の男性と比べると圧倒的に低い数字ですし、飲酒量も多くありません。大半はたしなむ程度で、健康リスクが懸念されるほどの飲酒量ではないのだと思います」

20代若者が飲まなくなったワケ

   ――40代以上の女性に飲酒量が増えているのは、女性の社会進出の広がりによって管理職になる女性が増え、ストレス解消のために飲むということは考えられないでしょうか?
     また、40代以上の女性は若い女性より収入が高いから、飲みたい時は遠慮なく飲めるということもありませんか?

久我さん「管理職のストレスも考えられますが、全体で見れば女性管理職の割合は低く、飲酒量にあらわれるほど大きいとは考えておりません。収入が影響している可能性はあります。消費支出を分析すると、女性は収入が増えると、食事やファッションをはじめ生活全般をグレードアップさせる傾向が男性より強いです」

   ――40代~50代の女性の飲酒習慣率が、20代男性を上回ってしまった背景には、20代男性が大きく下がったこともありますね。同じ20代女性が6割にしかダウンしなかったのに比べると、3分の1以下ですから極端に飲まなくなりました。この理由は何でしょうか。

久我さん「男女の食生活や趣味のボーダーレス化が指摘できます。たとえば、単身勤労者世帯の男女の食生活を分析すると、男性で自炊が増え、女性で減ることで、今のひとり暮らしの男女では似通った食生活となっています。また、男性の基礎化粧品や日焼け止めなども珍しくなくなり、男性の美容市場は拡大しているようです。
社会進出が進む女性では、経済力のある自立系女子が増える一方、経済環境の悪化や価値観の変容により、男性では草食系男子が増えているようです。男性の趣味志向が女性に近づいたことで、男性側の飲酒習慣率の変化がより大きくなったのかもしれません」
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