伝えるかどうかの基準は、業務に支障があるかどうか
――まさに、投稿者の今の上司に対する憤りがそうですね。
川上さん「日頃から認識にズレが生じることがありうることを念頭に置き、お互いにこまめに意思疎通を図りながら、できる限り思い込みや認識のズレが生じないような関係性をうまく構築することが、コミュニケーション上の認識ギャップを最小化するうえで、何よりも確実な対策だと考えます」
――ところで、時短勤務の人は仕事の相手側にその事実を伝えるべきかどうかについてはいかがですか。投稿者は「プライベートのことだから伝える必要はない」という考えです。一方、回答者の中には「仕事相手にも同僚にも迷惑をかけているのだから伝えるべきだ」とする人が多くいます。
川上さん「伝えるかどうかは、業務に支障が生じるか否かが基準になると思います。基本的には、『折り返しのご連絡をいただく際は○時までに』とお伝えすることはNGではない、むしろせっかく折り返していただいたのに、本人不在となると、そのほうが失礼になってしまいます。問題のポイントは、その折り返しは本人しか対応できない内容なのかどうかということではないでしょうか。
もし、社内の他メンバーでも対応できる内容ならば、時短勤務の社員が勤務時間内に折り返しを受けた際に、たまたま席外しだったとしても他社員が対応できるわけですから、敢えて○時までにとは伝えずに、『折り返していただいたら電話に出た者が対応いたします』ということで問題ないように思います。またその場合、時短勤務の社員が同様の場面で他社員の代わりに対応することもあるわけですから、お互いさまで、特別問題視されるようなことにはならないと思います」
――なるほど。
川上さん「時短勤務の社員本人でないと対応できない、または本人が対応してくれることを取引先が望んでいる場合は、対応可能な時間をお伝えして、それまでに折り返しいただければ本人が対応できる。それが難しい場合は、翌日以降の対応になる旨をお伝えする必要があると考えます。伝えておけば顧客側も予定が組みやすくなりますし、逆に伝えておかないと、電話をかけるという余計な手間を顧客にかけさせてしまうことになります。
一方、他社員には電話応対の手間が余計にかかり、場合によってはクレームになるケースも想定されます。子育てが理由で時短勤務にしていることは私的な情報であり、必ずしも伝える必要はないかもしれませんが、『○時までの勤務である』ことは、相手にとっても実務上必要な情報なのではないかと思います」