暴落したトルコリラ、「本来買うべきではなかった」通貨かも......(志摩力男)

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その通貨、実質金利はプラスですか?

   まず、見た目の金利(=名目金利)やスワップポイントのセールスばかりですが、本当の金利(=実質金利)が本当はどのぐらいなのか、それを知らなければなりません。

   すなわち、見た目の金利からインフレ率を引かなければなりません。新興国はインフレ率が高いところが多いので、実質金利の計算は必要最低限です。

   トルコは、歴史的にインフレ率が高い。いくら見た目の金利が高くても、本当の金利は常に「マイナス」でした。日本は見た目の金利はずっとゼロですが、インフレ率がマイナスの時も多く、じつは本当の金利はずっと「プラス」でした。

   金利を求めてトルコに投資したのに、本当は日本のほうが高かった。これは笑いごとではありません。

   新興国通貨に投資するときは、実質金利が十分大きくプラスであること。これは鉄則と言えるでしょう。

   次に、過去の為替レートの歴史を知ることです。為替なので、上がったり下がったりします。しかし、トルコリラの歴史はスゴイ。ほぼ、ずっと右肩下がりなのです。

   FX会社のアプリなどで見ることができる過去のチャートは、せいぜい5~10年。しかし、それでは短い。できるだけ長い期間チェックすべきです。トルコリラは、2015年初頭には50円でした。しかし、リーマンショック前2007年には100円近いレベルで取引されていましたし、その7年前の2000年の頃は200円近い数字でした。デノミがあったこともあり、1995年は2000円、1990年代には6万円台、1985年には50万円、1980年には250万円でした。

   これを見てわかるように、トルコリラはただただ下げ続けた通貨であり、「底」はないのです。それを知ると、トルコリラを買いたいと思うでしょうか。僕は思わないです。

   もちろん、トルコにはトルコのよさがあります。経済規模も大きく、GDPのランキングでは世界の17位です。人口構成も悪くありません。ただ、買うには、まず......

(1) 中央銀行の独立性が十分に担保されること
(2) 必要なだけ金利を引き上げられること
(3) 対米関係をよくすること などがあります。

   今のトルコは、景気刺激策より景気をわざと軟化させる必要があります。また、国民は受け入れがたいでしょうが、景気を少しスローダウンして外貨不足に対応しないといけないと思います。そういった措置が見えてから買っても、遅くはないのではないでしょうか。

(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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