問題は上司のマネジメント能力にあり!
――この投稿の炎上騒ぎは、家族の出産の面倒をみるためにパート労働者が休むことに対し、「迷惑だ」「理解して我慢すべきだ」と、同じパートで働く主婦同士がいがみ合う印象を受けます。何が問題なのでしょうか。
川上敬太郎さん「投稿者の上司のマネジメント能力に問題があると思われます。私たちが『働く主婦層の働きやすさに、上司のマネジメント能力が影響すると思うか』という調査を行なったところ、『大いに影響する』と答えた主婦が67%もいました。おもしろいのは、同じ質問を上司の管理職にもしたところ、なんと95%が『大いに影響する』と答えたのです。ほとんどの管理職が、自分の対応が、部下の主婦たちが気持ちよく働けるかどうかに影響していることを自覚しているわけですね」
――投稿者の上司はその自覚が足りなかったというわけですか?
川上さん「投稿者が携わっている仕事が、自分の裁量で完結できるものであれば、同僚が仮に何か月休んだとしても、特に問題にはならないのだと思います。しかし、投稿者が『正直迷惑』と言っている状況を踏まえると、同僚が休むことで仕事にしわ寄せが生じる、またはうまく仕事が回るのか不安に感じる状況があるのだと考えます。
1日や2日の話であれば従業員同士の調整でカバーできるかもしれませんが、1か月となると業務体制そのものを調整する必要がある。そうなると、部署マネジメントの範疇になってきます。投稿では『上司には報告済みで、みんなによくお願いしておくように言われた』とあります。報告済みということは、休みを上司が了承し、その時点で業務上問題ないという判断をしたということです。ただ、なぜ問題ないと考えているかはわかりません」
――その上司は1か月の間、何らかのヘルプ要員を補強するのか、あるいは、残った人員だけでも十分に業務が回ると考えているのかもしれませんね。
川上さん「ただそれならそれで、不安が生じないように投稿者に説明する必要があります。もし上司が業務状況を把握しておらず、パートさん任せにしているのだとしたら、上司がマネジメント責任を果たしていないことになります。投稿者が『パートだけのシフト制で回している』と言っていることから、その可能性も否定できません。
まず大切なのは、日頃から上司が業務の全体量を把握しておくことです。仮に一定量の業務を2人で回していた場合、業務量が変わらないまま1人抜ければ、残る人の負担は2倍になります。3人で回していた業務を2人で回すのであれば、負担は1.5倍です。その負担を軽減するためには、他部署にヘルプ要請したり派遣社員を依頼したりするなど人員を一時的に補強する方法が一つ。または業務量自体を調整する方法もあります。
もし上司が人員調整も業務量調整も不要だと考えているのであれば、どうすれば業務を処理できるのかしっかりとレクチャーし、取り組むべきことを明確にして不安を取り除くべきです。同僚が1か月休むことで不安が生じている状況自体が、マネジメント上の不備によって生じていると言えます。それは休むパートさんにとっても、他の人にとってもマイナスでしかありません。上司が1か月休んでも問題ないという判断をしたのであれば、不満や不安が生じない職場環境を構築する責任はマネジメント側にあるのだと考えます」